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年金トピックス

年金トピックス/バックナンバー


年金トピックス
No.49
2024年1月31日

2024年度の年金額改定に抗議しよう!

24年度の年金改定
 厚労省が1月19日、2024年度の公的年金の年金額改定について発表そた。厚労省の試算によると、24年度に受け取る年金額は、国民年金(満額)の場合、68歳未満は1,700円増の月68,000円、68歳以上は1,758円増の月67,808円となる。
 またもマクロ経済スライドの発動
 厚生年金は、夫婦二人のモデル世帯で、6,001円増の月230,483円となる。しかし物価や賃金が上昇した場合に発動されるマクロ経済スライドの適用が昨年に続いて今年も発動され、名目賃金変動率3.1%より0.4ポイント低く抑えられた2.7%引き上げとなっており物価上昇率より低いので、実質的価値は目減りすることになる。
 実質的な年金減額が続く
 アベノミクス以来10数年間で、年金が毎年減額されており、絶対に許すことはできない。このようなマクロ経済スライド制が多くの高齢者をますます貧困に追い込んでおり、年金受給者をはじめ、高齢者、現役世代の求めているものは、物価高騰に見合う年金額の引き上げである。
 積立金200兆円を活用せよ!
 しかし今回の改定はマクロ経済スライドによる大幅な実質減額であり、特例法を制定し、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の積立金200兆円を活用して、マクロ経済スライドの実施を中止すべきである。
 続く物価上昇
 最近の生鮮食品をはじめとした諸物価の高騰により、年金生活者は厳しい生活に追い込まれており、マクロ経済スライドによる年金の引き下げをこれ以上許さない運動を大きくすることが一層重要となっている。
 物価上昇に見合った年金引き上げを!
2024年度の年金額改定通知は6月上旬に年金受給者のもとに送られてくるが、新年度の年金額が前年度より若干増えていても、マクロ経済スライドにより実質は物価に追いついていないことを周りの年金受給者に知らせ、マクロ経済スライド制度反対の運動を広げていこう。
社会保険労務士 夏野弘司

2024年1月25日 年金裁判・東京高裁前集会

年金トピックス
No.48
2023年3月31日

2023年度の年金額改定に抗議しよう!

実質的な年金減額
 1月20日厚労省が2023年度の年金額改定について発表した。それによると、昨年の物価変動率がプラス2.5%、名目賃金変動率がプラス2.8%として、改定ルールにより、67歳以下(昭和31年4月2日以降生まれ)の改定率は、名目賃金変動率の2.8%を、68歳以上(昭和31年4月1日以前生まれ)の改定率は物価変動率の2.5%をそれぞれ適用することにして、そこからマクロ経済スライドを適用し、2023年度のスライド調整分がマイナス0.3%と昨年度までの繰り越し分マイナス0.3%と合わせて0.6%を削減することとした。従って、67歳以下の改定率は2.2%、68歳以上の改定率は1.9%のプラス改定とした。物価上昇率との関係でみれば、0.6%の実質的な減額となる。

 特例法でマクロ経済スライド実施を中止せよ
 アベノミクス以来11年間で、公的年金は実質7.3%の減額であり、絶対に許すことはできない。全日本年金者組合は、大きな怒りをもって今回の改定に強く抗議している。
 このようなマクロ経済スライド制が多くの高齢者をますます貧困に追い込んでおり、年金受給者をはじめ、高齢者、現役世代の求めているものは、物価高騰に見合う年金額の引き上げである。しかし今回の改定はマクロ経済スライドによる大幅な実質減額であり、特例法を制定し、マクロ経済スライドの実施を中止すべきである。

 物価高騰で進む高齢者の生活困窮
 過去の特例法の前例では、バブル崩壊後の物価が下落していた2000年から2002年では、「物価スライド特例法」をつくり、年金額を下げなかった。
 今は、このころ以上に高齢者の生活は困窮しており、最近の発表では昨年12月の消費者物価指数は、前年同期比で食料品7%、電気代21.3%、ガス代23.3%増で、消費者の実感では10%以上の物価高である。年明けて1月以降も食料品をはじめ生活必需品の値上げが続いており、マクロ経済スライドによる年金の引き下げをこれ以上許さない運動を大きくすることが一層重要となっている。

 実質年金削減に抗議の運動を。
 2023年度の年金額改定通知は6月上旬に年金受給者のもとに送られてくるが、新年度の年金額が前年度より若干増えていても、マクロ経済スライドにより実質は物価に追いついていないことを周りの年金受給者に知らせ、マクロ経済スライド制度反対の運動を広げていこう。

社会保険労務士 夏野弘司

2023年3月15日 鎌倉スタバ前で街頭署名

年金トピックス
No.47
2022年3月31日

新年度からの年金引き下げをやめてもらいたい!

4月分から0.4%引き下げ
最近の年金相談などで、新年度の年金額が0.4%引き下げられると聞いたが、最近、物価上昇が続いており、年金暮らしで大変な思いをしているもとで、どうして年金額を引き下げるのか納得できないと、年金受給者の不満の声を聴く機会が多い。
 これに対して一通り、厚労省が発表している年金額の0.4%引き下げの改定ルールなどを説明しているが、なかなか納得してもらえない。
 物価高騰なのに引き下げ?
 確かに相談者が言われるように、最近、電力、ガス、水道などの公共料金や食料品などの生活必需品などの物価上昇も続いており、年金生活者は以前より一段と厳しい経済環境に追い込まれていると理解する。
 年金積立金の活用を!
 この様に年金生活者の厳しい状況がある中で、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の2月4日の運用状況速報によると、運用資産額が199兆円になったと報じられた。GPIFの年金積立金は、年金受給者が現役時代から掛けてきた年金保険料であり、毎年のように年金が引き下げられ年金生活者の生活が厳しく大変な状況になっているのだから、GPIFの年金積立金を活用して年金生活者の年金をカバーしてもらいたいものだ。
 現在、日本の年金受給者は4千万人超といわれており、年金生活者の消費が落ち込むことになれば、日本経済にも大きく影響することになるだろう。政府は新年度の年金引き下げを再検討してもらいたい。
社会保険労務士 夏野弘司

2022年3月15日 鎌倉駅前で街頭署名

年金トピックス
No.46
2022年2月20日

年金引き下げ反対の声を大きくし運動を広げよう

年金額、0.4%の引き下げに!
2022年度の年金額は前年度から0.4%引き下げられることが、1月21日厚労省から発表されました。これは昨年の消費者物価指数がマイナス0.2%だったが、名目手取り賃金変動率がマイナス0.4%だったためです。年金額改定については、2016年年金制度改正(年金カット法)で物価も賃金もマイナスの場合はマイナスの大きい方で年金額を改定することが、昨年2021年度から実施されることになり、今年度のようにマイナスの大きい賃金に合わせて年金を引き下げることとなりました。またマクロ経済スライドによるスライド調整は昨年度分と合わせて0.3%が来年度以降に繰り越されます。
10年間で6.7%の切り下げに
 年金は今まで約10年間に6.7%も引き下げられたといわれています。例えば年額100万円の人は6万7千円引き下げられたことになります。
 今のマクロ経済スライド制が続けば、今後も年金が毎年のように引き下げがつづくと思われます。
 最近の報道では、電力、都市ガスも値上げを予定しており、食料品、調味料など生活必需品も値上げが続いています。このように公共料金や生活必需品等の値上げが続く中で、年金が毎年のように減額されることは、年金生活者として絶対に許すわけにいきません。
年金積立金の運用は順調
 このように年金生活者の厳しい状況がある中で、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の2月4日の運用状況速報によると、運用資産額は199兆2518億円になったと報じられています。GPIFの積立金は、私たちが現役時代から掛けてきた年金保険料や今の現役世代の保険料などであり、毎年のように年金が引き下げられ、年金生活者の生活が厳しく大変な状況になっているのだから、GPIFの年金積立金を活用して年金受給者の年金をカバーする施策を講じるべきです。
消費税を5%に!
 また、毎年のように年金が引き下げられて、苦しい生活を強いられている約4千万人の受給者の生活を支えるためにも、現在の消費税率10%を5%に引き下げるよう要求したいと思います。消費税率5%引き下げは単に年金生活者だけでなく、新型コロナのもとで冷え込んでいる経済を立て直すためにも必要な課題です。諸外国の多くの国が、付加価値税(日本の消費税)をコロナのもとで、引き下げています。
消費税率5%引き下げも、声を大きくして要求しましょう。
社会保険労務士 夏野弘司

2022年1月14日 鎌倉駅前で街頭署名

年金トピックス
No.45
2021年12月26日

最低保障年金制度実現めざして運動を強めよう

去る11月30日「年金の日」のシンポジウムで、厚生労働省高橋年金局長の「公的年金の水準の確保に向けて」をテーマにした講演があった。その中で次期制度改正に向けた柱の一つとして「マクロ経済スライドの調整期間一致と基礎年金45年化」が掲げられた。
厚労省年金局長の発言
 2019年の財政検証では、 基礎年金部分のマクロ経済スライド調整期間が長期化する一方、報酬比例部分(厚生年金)の調整期間が短くなり、制度間のギャップが大きくなる結果が示された。現在、国民年金勘定と厚生年金勘定を区分し、それぞれ積立金を持っており、財政力が相対的に弱い国民年金勘定の積立金が先に不足し、基礎年金の調整が長期化する一方、報酬比例部分の調整は短縮する。調整期間のズレを直し調整期間の一致と基礎年金の45年化を図ることは、次期制度改正で必須の課題であると強調した。
国民的関心に
 私たち年金者組合として「マクロ経済スライドを廃止し、減らない年金制度」「最低保障年金制度の創設」「基礎年金の国庫負担分3.3万円をすべての高齢者に」などの要求を掲げて運動してきており、最低保障年金制度のパンフを各政党や諸団体にも配布し、「最低保障年金制度創設」に対する支援を呼び掛けており、9月10日には当時の田村厚生労働省大臣が 「基礎年金水準の悪化」に歯止めを表明し、9月16日には、河野太郎氏が自民党の総裁選で、年金に「最低保障必要」と発言するなど、年金者組合の要求が政治的な課題として議論の対象となり、国民的な関心事となってきた。
めざそう、最低保障年金
 この様なもとで、今まで以上に私たちとしても最低保障年金制度実現をめざして運動を強めていくことが求められている。機会あるごとに最低保障年金制度要求の署名活動などの運動を強めよう。
社会保険労務士 夏野弘司

2021年11月15日 鎌倉駅前で街頭署名

年金トピックス
No.44
2021年10月26日

年金積立金を活用し、これ以上の年金引下げをやめさせよう

厚労省年金局が8月6日、厚生年金と国民年金の2020年度収支決算を公表した。
 それによると、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の連用収入が増加し、厚生年金で約35. 7兆円プラス、国民年金で約2兆円プラスとなり、決算結了後の厚生年金、国民年金の年度末積立金は、194兆5186億円と過去最高となった。2015 年に被用者年金一元化により厚生年金と共済年金が一元化されたが、このGPIFの勘定には共済組合は含まれていない。
年金積立金は誰のもの
 その後、9月初旬に、連合が主催する「年金積立金は誰のものシンポジューム」に参加した年金者組合の仲間の話では、パネラーの一人、香取照幸元年金局長が「年金積立金は誰のもの」のテーマで、保険料として国が強制的に国民から徴収したものであり、国民のものであり、その管理責任は徴収した国にあり、国がGPIFに委託しており、GPIFの運用責任においても最終的には国に責任があると説明した。
不安定な運用
 参加した仲間の意見では、今の年金制度が賦課方式だというならば、年金積立金は多くても1年分(約50兆円)もあれば十分であり、50年先の年金資産不足を前提に、400兆円、60O兆円を目指すことの説明が見えない。今でも不安定な運用なのに、これ以上のリスク運用は賛成できない。
年金引き下げをやめよ
 アベノミクスの強行に私たちの年金積立金を使用しないでほしい。
 これほどの私たちが納付した年金積立金があるのだから、年金を毎年のように引下げるのはやめてもらいたいという、年金受給者の声を大きくし運動を広げよう。
社会保険労務士 夏野弘司

2021年10月15日 大船仲通で街頭署名

年金トピックス
No.43
2021年4月9日

振替加算の支給漏れがないか、確認しよう

約10万人が振替加算支給漏れ
 2017年9月、厚労省が振替加算の支給漏れが約10万人に対し総額約598億円見つかったと発表した。その後の対応策として、原則時効の援用は行わないとしたが、夫に加給年金が支給されていながらも、妻から年金機構に対して生計維持関係がない、と届け出があったもので、妻自身にも一定の帰責性がある場合は5年の時効が適用されるとして、時効扱いを継続する不当な対応を一部の受給者に対して継続してきた。
 このような振替加算の未払いや、時効により未払い分を5年分で打ち切られていることに対する不満や怒りの声が全国の年金者組合などに寄せられてきた。このようなもとで3年位前から、年金者組合本部に振替加算対策委員会を設けて対応してきた。
提訴したら全額支給
 このようなもとで、先般2月8日朝日新聞に「振替加算支給漏れ 提訴したら全額支給」と大きく報道された。これは65歳から振替加算の支給が漏れていた人や時効が適用され過去5年分しか支給されなかった人など、79歳から87歳の7人が振替加算の全額払いを求めて東京地裁に提訴したものであるが、国側は原告の主張を受け入れ、詳しい説明や理由を述べないまま判決が出る前に、7人に対して全額990万円を支払った。原告側代理人は「訴えたり申し立てたりしなければ、振替加算を支払わないというやり方は理不尽だ」と批判し、国が支給対象外とされた人も含めて再調査し、支給漏れのないよう要求している。
振替加算とは
 振替加算はどのような人に支給されるのか、またどれくらいの年金額なのか、を振り返ってみましょう。振替加算は、厚生年金や共済年金の加入者の配偶者が要件を満たせば基礎年金に上乗せして受け取れるもので、月額は年齢で異なり約4千円から約1万8千円程度。

振替加算の要件は
主な要件は、
①夫(妻)の厚生年金(共済年金)の加入期間が20年以上あること
②夫(妻)の生年月日が大正15年4月2日以降昭和41年4月1日以前であること
③生計維持関係のある配偶者であり、配偶者の厚生年金(共済年金)加入期間が20年未満であること
④配偶者の年収が850万円未満であること
 このような要件を満たす夫婦の場合は、妻が65歳になるまでは、夫の厚生年金に加給年金が支給され、妻が65歳になると夫の加給年金から妻の基礎年金に振替加算が支給される。
受給漏れがないか確認しよう
 振替加算の受給漏れがないかの確認は、年金額改定通知書(6月上旬に届く)の国民年金欄の基本額の次の行に記載されている。もし上記の受給要件に該当する65歳以上の人で振替加算の記入のない人は、年金事務所で相談した方がいいと思われる
また、65歳過ぎた年金受給者のなかに、まだ振替加算のことが理解できてないため、受給漏れになっている人がかなりの数いるのではと思われる。ぜひ周りの人にも声をかけて助けてあげましょう。 社会保険労務士 夏野弘司

2021年1月15日 鎌倉駅前で街頭署名

年金トピックス
No.42
2020年12月21日

75歳以上の医療費窓口2割負担は大問題

医療費窓口負担の倍増案
 安倍政権時代から「全世代型社会保障改革」の柱として位置づけられてきた、75歳以上の後期高齢者医療制度の医療費窓口負担引き上げの方向が報道されている。政府は今後の検討会議でまとめ、閣議決定して来年の通常国会に法案提出の方向で準備している。
 現在75歳以上の後期高齢者は約1815万人で、このうち現役世代並みの収入がある約130万人は、かかった医療費の3割を負担しているが、その他の人は医療費1割負担となっている。
 年金収入200万以上(単身)が対象
 今回の政府の改悪案では、年金収入が単身世帯で200万円以上、夫婦世帯で320万円以上が目安で約370万人が対象となっている。
 政府は、後期高齢者医療制度は現役世代の加入する健康保険組合などからの支援金で賄っているので、将来世代の負担を少しでも減らしていくことが必要という理屈で、今回の2割負担を考えている。
 また、この改悪案の実施時期は、団塊世代が75歳以上になり始める2022年度後半とする方向で検討が進められている。
 高齢者は病院で受診することも多くなり、今でさえ医療費の窓口負担が心配されているもとで、年金は毎年のようにマクロ経済スライドで減額されているなかで、医療費負担が現在の2倍になるようでは、この先どうすればいいのか極めて不安だ。
 高齢者が安心できる制度に
 政府は「人生100年時代」にふさわしく、高齢者が安心して暮らせる制度を実現すべきであり、そのために大企業・富裕層優遇税制などをただし、膨大な軍事予算を削って国民の命と暮らしを守る予算をつくるべきだ。
 日本でも、かって1970年代に世論と住民運動の広がりで「老人医療費無料」を実現させた時代があったことを思い出しながら、75歳以上の医療費窓口2割負担をやめさせる運動の声を大きくして拡げよう。
社会保険労務士 夏野弘司


(12月15日、大船仲通商店街で、「75歳以上医療費窓口2割負担反対署名」活動をおおないました。)

年金トピックス
No.41
2020年8月1日

2021年度からの年金額改定ルール見直しをやめさせよう

2021年からの年金改定ルール
 2016年に強行成立させた「公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律」(年金カット法)により、2021年度から賃金変動が物価変動を下回る場合には、賃金変動に合わせて年金額を改定することが決められた。
 物価・賃金でマイナスの方ににあわせる
 賃金の下げ幅が物価の下げ幅より大きい場合には、賃金の下げ幅に合わせて年金額を減額するというもの、これまでは、物価が上がっても賃金がマイナスになった場合、年金額は据え置きになっていた。それが新ルールでは物価と賃金のどちらかがマイナスになれば、マイナスの方に合わせて年金額を減額することになり、両方がマイナスになった場合は、マイナスが大きいほうに合わせて年金額を減額するというものであり、物価が上昇しても賃金があまり上がらなければ年金額は物価上昇に追いつかず実質目減りすることになる。
 新ルールの実施をやめさせよう
 今でさえ、毎年のように減額される年金で毎月の家計のやり繰りに困っているもとで、このような年金額が減額されるような新ルールは絶対に許せない。
 特に2021年度の年金額ついては、今年の新型コロナウイルスにより経済活動が停滞し、賃金水準の大幅な下落が懸念されるもとで、2021年度からの新ルールを実施させないよう運動をつよめよう。
社会保険労務士 夏野弘司

2020年6月15日 大船仲通で街頭署名

年金トピックス
No.40
2019年6月17日

老後が安心できる年金制度実現にむけ運動を強めましょう

金融庁ワーキンググループの報告書
 今、公的年金制度では、年金のみの収入では30年間で2千万円不足するという金融庁の報告書が、新聞、テレビなどでも大きく報じられ、世間で大きな話題になっています。
 報告書は「高齢社会における資産形成・管理」と題し、首相の諮問機関の金融審議会の作業部会が6月3日に公表しました。金融庁が金融審議会の事務局を務める金融審議会のもとに設けられた有識者会議のひとつであり、市場ワーキンググループ(大学教授や金融機関の代表ら21人の委員で構成)が昨年9月から12回議論を重ねた後、金融庁内部の了承を得てまとめ上げたものです。
 30年で2000万円不足?
 高齢化が進むなか、個人の備えるべき資産や必要な金融サービスについて、安定的に資産を築けるようにすることが審議会の狙いだったといっています。
 今、問題になっているのは、報告書が「収入が年金中心の高齢夫婦の世帯は収入よりも支出が上回るため、平均で毎月5万円の赤字になり、老後30年間、これが続くと2千万円が必要となる」と試算し、「赤字分は貯蓄などの金融資産から取り出す必要がある、現役時代から長期の投資を行い、資産形成を進めるべきだ」と指摘しています。
 「100年安心」の偽りが明らかに
 政府がこれまで「100年安心の年金」と繰り返し国民に宣伝してきましたが、金融庁報告書はそれが偽りであり、老後の暮らしを支える年金制度になっていないことを認めたことになります。
 現在、年金受給者で2千万円もの資産を備えている人がどれほどいるでしょうか。また、現在41歳以下の人達が年金受給者になった時は「マクロ経済スライド」の影響で2千万円どころか3千6百万円も不足するという報道もあります。また金融庁試算は基礎年金だけの人、約720万人の老後の年金生活者を無視した報告となっています。
 マクロ経済スライドの廃止、最低保障年金の実現を!
 今回の金融庁の報告書は、明らかに我が国の公的年金制度では、老後は暮らしていけないことが明らかにされたことになります。
 今こそ、私たち年金者組合が以前から要求しているマクロ経済スライド制の廃止や、最低保障年金制度を実現し、若い人も高齢者も安心して暮らせる年金制度を実現するため運動を強めましょう。
 「若い人も高齢者も安心できる年金制度を」の署名を今まで以上に幅広く訴え、仲間増やしにもつなげる絶好のチャンスではないでしょうか。
社会保険労務士 夏野弘司

2019年2月21日 年金学習会特別編

年金トピックス
No.39
2019年1月1日

2019年度も年金制度改悪に注意しよう

マクロ経済スライド発動か?
 最近の新聞報道等によると、2019年度はマクロ経済スライドが発動される状況になるのではないかといわれています。これは11月30日に衆議院厚生労働委員会で、2019年度の年金額改定について議論が行われた際に、根本厚労大臣が「マクロ経済スライドが発動されるような状況になるのではないかと考えている」と発言したことによるものですが、正式には1月の第4金曜日に厚労省から「平成31年度の年金額改定について」というプレスリリースが発表されることになっています。

 今年は財政検証の年
 また、2019年度は5年に一度の財政検証の年となっており、既に経済財政諮問会議において議論されており、年金関係では、更なる適用拡大、短時間労働者に対する被用者保険の適用範囲の拡大や、高齢者の勤労と公的年金制度の整備の点では、年金受給開始時期、就労による保険料拠出期間や在職老齢年金の在り方、高所得者の年金給付の在り方を含めた年金制度の所得再分配機能の在り方、および公的年金等控除を含めた年金課税の在り方の見直しなどについて、法案提出を含めた必要な措置を講ずるとしています。

 予想される年金の実質目減り
 最近の総務省の発表などでも、2018年は消費者物価指数がプラスとなっており、賃金変動率もプラスとなる場合、年金がプラスに改定されることになりますが、このように年金がプラスに改定されるような時にはマクロ経済スライドが発動され、物価上昇があっても年金額がプラスに改定されないことになり、年金額は実質目減りすることになってしまいます。

 振替加算支給漏れの時効適用を無くせ
 次に、昨年9月に発覚した振替加算の支給漏れについては、日本年金機構で給付漏れが確認できた人に対しては、お知らせが届き、昨年11月に例え70歳以上の人でも、65歳まで遡った金額が振り込まれていますが、今回の振替加算支給漏れ発覚以前にも、多くの人の振替加算が65歳時点で支給されず、70歳以降に発覚して支給されたという事例がありましたが、この場合年金の時効が適用され5年分しか遡及されなかったという事例が多くありました。

 消費税増税やめろ!の声をあげよう
 年金が毎年のように目減りを続けているような下で、10月には消費税増税も計画されており、大人しくしていると年金生活者の生活は益々厳しくなります。
 マクロ経済スライド制をやめろ、消費税増税はやめろ の声を今まで以上に大きくし、運動を拡げ強めことが重要です。
 2019年度も共に頑張りましょう。
社会保険労務士 夏野弘司

2018年10月19日 年金フェスタで銀座を行進

年金トピックス
No.38
2018年7月3日

年金の過少支給や給付漏れはありませんか

年金、減らされていませんか?
 今年2月に振り込まれた年金額が昨年12月に振り込まれた年金額と比べて少なくなっていませんか。新聞等で報道されたように、約140万人の2月分の年金が本来より少なく支給されていることが判明しました。
 原因は、平成30年扶養親族等申告書の未提出や日本年金機構の事務ミス等によるものです。
扶養親族等申告書の書式変更が問題
 老齢年金から源泉徴収する所得税額は扶養親族等申告書をもとに計算されており、従来は往復はがき形式で、前年から「変更なし」・「変更あり」欄にチェックするだけで、はがきを返送すればよかったものが、昨年8月から約800万人に送付された平成30年扶養親族等申告書には、マイナンバー記載欄を設けるなど記入項目が大幅に増加し、様式もA3用紙に変更されていました。
 そのため未提出者や記入ミスで返送された人が約91万人おり、正しく提出した人のものも年金機構等の作業ミス等もあり、本来なら税率5.105%のところ倍の10.21%の課税となり、年金振込額が減額されたものです。
まずは年金振込額の確認を
 約91万人の申告書未提出者等へは4月下旬に申告書が再送されており、これを提出すれば2月分からの税金の過徴収分が還付されることになっています。
 まずは、2月15日の年金振込額を昨年12月15日振込の年金額と比べてみてください。

振替加算の支給漏れ
 次に、昨年9月に発覚した振替加算の支給漏れについては、日本年金機構で給付漏れが確認できた人に対しては、お知らせが届き、昨年11月に例え70歳以上の人でも、65歳まで遡った金額が振り込まれていますが、今回の振替加算支給漏れ発覚以前にも、多くの人の振替加算が65歳時点で支給されず、70歳以降に発覚して支給されたという事例がありましたが、この場合年金の時効が適用され5年分しか遡及されなかったという事例が多くありました。
時効なしに未支給の解消を!
 今回の振替加算給付漏れ該当者は、時効の援用をせず65歳まで遡及して支給することとされており、以前の振替加算給付漏れ該当者が、日本年金機構に対して抗議し、時効援用せず追加支給せよと要求しています。
 65歳で支給すべき振替加算を年金機構側のミスで支給されていなかったものであれば、時効だから5年分しか支給しないというのは、とんでもありません。もし以前に振替加算の未払い分が70歳過ぎて発覚して、5年分しか受給できなかったというような人は、ぜひ年金者組合にご相談ください。

社会保険労務士 夏野弘司

年金トピックス
No.37
2018年5月3日

年金の毎月払い要求の声を拡げよう!

年金は家計の柱
 日本では年金の支払いが昔は3か月ごとでしたが、年金者組合などの運動により1989年に国民年金法の改正で、2月、4月、6月、8月、10月、12月の隔月払いになりました。それから29年も経過しており、現在では日本の年金受給者は4千万人となっており、年金を家計の柱にしている年金生活者が多くなっています。
イギリスでは毎週支給
 日本では賃金は労働基準法により毎月払いが大原則であり、各種公共料金等の支払いも毎月支払いとなっています。現在のように年金が隔月払いの場合、臨時支出に対応できず、場合によっては借金せざるを得ない状況となる時もあります。特に低年金者の場合は、毎月払いは緊急かつ切実な要求となっています。
 諸外国における年金は毎月支払が標準であり、イギリスでは賃金の週給制の習わしにより、年金も週給制となっており、ニュージーランドでは隔週火曜日に2週間分が支払われています。

街頭署名 2017年12月

年金「毎月支給」は付帯決議
 全日本年金者組合では以前から年金の毎月払いを要求して厚労省交渉を繰り返しております。年金の毎月払いについては、国会の場でも昭和61年公的年金制度改正の立法過程の中でも、昭和59年12月18日の衆・参議院社会労働委員会において「国民年金法等の一部を改正する法律案に対する付帯決議」の中で「年金の支払回数については、毎月支払を実施することにつき、事務処理体制等の整備を図りつつ検討すること」と記載されています。
毎月支給は国民の要求
 また、最近では全国の政令指定都市国保・年金主管部課長会議で「年金受給者となってからも現役時代の生活習慣をそのまま継続しやすいよう年金の支払い期日を隔月から毎月へ変更されるよう要望する」という国民年金に関する要望書が提出されています。
毎月支給で地域経済活性化を!
 このような国民の側の要求に対し、厚労省は年金の毎月支給を実現するためには、日本年金機構のみならず、各金融機関や年金から控除される税金、介護保険料などの委託部門を所管する関係機関の業務もあり、大規模なシステム改修が必要となり、現段階では実施は困難であるといっています。
 年金受給者の多数が要求しており、地域経済の活性化にもつながる効果のある年金毎月支給制度であり、多少の行政の大変さがあっても少しでも早く実施すべきではないでしょうか。
 年金の毎月払いの早期実現のため、皆さんで年金毎月払いの要求の声を大きくし運動を拡げましょう。
社会保険労務士 夏野弘司

年金トピックス
No.36
2018年4月6日

高齢者が安心して暮らせる年金制度を!

「高齢社会対策大綱」を閣議決定
 政府は2月16日、高齢社会対策の指針である「高齢社会対策大綱」を閣議決定した。大綱では、65歳以上を一律に「高齢者」と捉えることは現実的でなく、70歳以降でも意欲・能力に応じた力を発揮できる時代が到来しているとして、公的年金制度では、高齢期における職業生活の多様性に対応した年金制度とすると言っている。
 そのため、現在の受給開始時期を65歳から70歳までの間で個人が自由に選べる繰り下げ制度を積極的に周知し、現在1%程度の繰り下げ受給者をふやし、70歳以降の受給開始を選択可能にする制度改定に向けた検討を行い、2020年までの関連法改定案の国会提出を目指している。
 年金の繰り下げ制度の仕組みは、65歳以降受給開始を遅らせれば月0.7%加算され、現状70歳から受給すると42%加算されることになっているが、5年間受給しなかった分を取り戻すには82歳以上受給しないと損をする。

高齢者に可能な限り働け?
 このほか、大綱では高齢者の就業促進を計り、定年延長や継続雇用を行う企業に対する支援充実も打ち出している。高齢者に可能な限り働いて、保険料を掛けてもらい、年金の受給を先延ばしにしてほしいということのようだ。
 また現行の公的年金制度のマクロ経済スライド制の年金カット法などを確実に実施し、制度の安定的運営を進めると強調し、公的年金を補完するため、個人や企業などに自助努力を求め、個人型確定拠出年金など私的年金制度の普及・充実を図るとしている。

懸念される支給開始の引上げ
 今回の大綱では、支給開始年齢の引上げについては述べられていないが、今回の70歳以降の受給開始選択制が導入されて来れば、いずれは現在の65歳支給開始の引上げを打ち出してくることが懸念される。
 政府は、高齢者が日々暮らしを心配せずに、無理して働かなくてもよい社会保障制度を拡充すべきであり、最低保障年金制度を確立して、憲法25条で保障されている「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を保障すべきである。
 「若い人も高齢者も安心できる年金制度」実現のため、現役の労働者とも連帯して年金制度の改悪に反対し、要求実現のため運動を強めよう。

街頭署名 2017年12月

社会保険労務士 夏野弘司

年金トピックス
No.35
2017年10月31日

振替加算の給付漏れを確かめよう。

振替加算の給付漏れが判明
 9月13日厚労省が105,963人に振替加算の給付漏れが判明したと公表した。
 そのうち、夫婦のいずれかが共済年金を受給している人が101,324人(全体の96%)となっており、日本年金機構で給付漏れの確認ができる人に対しては、11月上旬にお知らせを送り、11月15日に65歳まで遡った金額を振り込むことになっている。また、振替加算を支払うべき人が亡くなっている場合は、未支給年金を請求できる遺族に対して案内が届くことになっている。
振替加算とは
 振替加算とは、平成3年から実施されている制度で、配偶者(夫)の老齢厚生年金、または共済年金(20年以上加入)または障害厚生年金(1級また2級)に、受給権者(妻)に係る加給年金額が加算されている場合に、妻が65歳に達した時に夫の加給年金を、妻に支給する老齢基礎年金に振り替えて加算する制度であるが、夫の厚生年金・共済年金が昭和61年4月以降に受給し始めた年金であり、妻も大正15年4月2日から昭和41年4月1日までの生年月日の人であることが条件となっている。
約50万円の給付漏れを回復
 9月14日の新聞報道を見た70歳のA子さんは、夫が国家公務員だったため現在共済年金を受け取っている。もしかしてA子さんの年金に振替加算が漏れているのではと心配になり、私に相談の電話があった。新聞報道の内容を説明して、日本年金機構のフリーダイヤルに照会するよう勧めた。翌日、照会の結果振替加算の支給漏れであったことの回答があったと連絡がきた、年額約10万円で65歳からの遡及分で約50万円が11月に振り込まれることになっている。
振替加算額の確認を
 このほかにも数人の人から照会を受けているが、皆さんの中でも65歳過ぎて老齢基礎年金を受け取っている人で、特に夫が共済年金を受け取っている人は、今年6月に日本年金機構から送ってきた「年金額改定通知書(ハガキ)」の国民年金(基礎年金)の項目の二段目に振替加算額の行があるので確認するか、または、日本年金機構の振替加算フリーダイヤル0120-511-612に照会することをお勧めしたい。受付時間は平日8;30~20;00 土日祝日8:30~17:15となっている。
行政のミス。時効なしで回復へ。
 今回の振替加算の給付漏れの大部分は行政の事務ミスが原因であるため、時効の援用はしないことになっており、70歳以上の高齢者の場合は65歳まで遡及支払となるので、かなりの額となる人が多いと思われる。少しでも心当たりのある人は、給付漏れがないか確かめるようお勧めしたい。

鎌倉NPOフェスティバル 年金相談 2017/8/20

社会保険労務士 夏野弘司

年金トピックス
No.34
2017年5月4日

年金受給資格期間10年が実現した。

年金者組合の運動の大きな成果
 年金者組合が以前から要求してきた、年金の受給資格期間25年から10年への短縮が実現し、今年9月分の年金から受給できることになった。初回の振り込みは10月13日となる。
 日本年金機構の発表によると、この制度に該当する対象者数は約74万人となっており、既に対象者には黄色便の年金請求書が順次送付されており、年金事務所でも3月から事前受付を始めている。
 25年未満でもあきらめずに
 現在、日本年金機構で発表している対象者数約74万人は、10年以上の厚生年金・共済組合加入または国民年金保険料納付・免除期間などあるが 25年に満たないため年金受給資格期間が不足しており無年金となっている人であり、加入期間や納付・免除期間が10年に不足している人でも、カラ期間(別掲)を含めて10年以上になる人も、今回受給資格を得ることになる。例えば国民年金納付済み期間が5年間だけだったが、昭和61年3月以前のサラリーマンの妻としてのカラ期間が5年以上あるような場合は、10年以上として受給資格を得ることができる。
 したがって、今回の受給資格期間10年の実現により、74万人だけでなく約120万人の無年金者が救済されることになる。
 まわりの無年金者に声かけを
 また、10年以上前に年金記録が約5千万件浮いている、消えているなどで大きな政治問題にもなったが、未だに約2千万件の未統合記録が残っているといわれており、いま年金事務所でこの黄色便の請求書を受け付けた際に、本人の過去の記録が見つかったという年金事務所の相談員の話を聞くことが多い。
 該当する人は、もう一度過去の加入記録などを再確認することをすすめたい。
 年金者組合として、まわりの無年金者に積極的に声を掛け、年金請求書が届いてない場合でも、あきらめずに年金事務所で相談するなり、年金者組合県本部に相談などして年金請求のお手伝いなどを積極的に進めよう。

カラ期間(合算対象期間)とは
 年金額の計算には含まれないが受給資格期間に算入される期間を「カラ期間」といいます。カラ期間の主なものにはつぎのようなケースがあります。

  1. 昭和36年4月から昭和61年3月までの期間で厚生年金・共済組合の加入者の配偶者で国民年金に任意加入しなかった期間(20歳から60歳までの期間に限る)
  2. 昭和36年4月から平成3年3月までの期間で、国民年金の任意加入対象であった学生が、任意加入しなかった期間(20歳から60歳までの期間に限る)
  3. 昭和36年4月以降、厚生年金の脱退手当金を受けた期間(昭和61年4月以降に年金に加入していることが条件)や共済組合の退職一時金を受けた期間
  4. 昭和36年4月以降、日本国籍の人が海外に居住していた期間(20歳から60歳までの期間に限る)

社会保険労務士 夏野弘司

年金トピックス
No.33
2016年10月4日

個人型確定拠出年金の加入は要注意。

今から15年前に導入された確定拠出年金制度(以下DCという)が改定され、2017年1月から今まで加入できなかった専業主婦(第3号被保険者)や公務員そして一部のサラリーマンも個人型DCに加入できることになった。DC制度には企業型と個人型があり、銀行や大企業などでは早くから企業型が導入され、個人型は今まで主に自営業者などの国民年金加入者の制度だった。
 企業型は事業主が掛け金を拠出し、個人型は個人で掛け金を拠出し、掛け金を運用して将来の老後の年金を自己責任で準備せよという制度であり、数年前の統計では、加入者の半数以上が運用でうまくできず元本割れとなっていた。
 これも数年前の事例だが、ある大手電機メーカーの工場労働者が59歳で死亡し、企業型DCの資産管理機関の信託銀行から死亡一時金の支給通知が届いた内容によると、掛け金拠出額約200万円だが死亡一時金は120万円となっていた、DC加入時から死亡時までの期間の運用損失が約80万円となっていたことになる。
 政府は少子高齢化により公的年金は先細りせざるをえないので、企業年金や個人年金の拡充が必要といいながら、企業年金は企業側の責任を軽減し、加入者・受給者に責任を負わせる「リスク分担型企業年金」やDC年金の個人型加入対象者を拡大するなど、国や企業が責任を持たない、加入者の自己責任で将来の年金を準備させるようなことを国民に押し付けようとしている。
 本来、政府は高齢化進展のもとで、年金をはじめとする社会保障を一層充実させるべきであり、財政が厳しいから削減するなど断じて許せないことである。国の公的年金制度を一層充実させることこそ重要であり、国民の自己責任を押し付けるDC年金制度を拡大すべきではない。
 今回の法改定によって新たに個人型DCの加入対象となる人が約2千万人以上となるが、個人型DCの認知度が低いので制度の普及促進を図るためDC普及推進協議会が設置され、個人型DCの愛称とロゴの作成により認知度向上を図るとして募集した結果、個人型DCの愛称は「iDeCo(イデコ)」となった。銀行、信託、証券会社など金融機関による顧客獲得競争が一段と激しくなり、60歳前の加入対象となる人には勧誘される機会も多くなると思われるが十分注意するようお勧めしたい。
「さげるな年金」署名 大船仲通

社会保険労務士 夏野弘司

年金トピックス
No.32
2016年3月21日

年金積立金の株式運用をやめさせよう。

GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は2014年10月、年金積立金の資産構成割合(基本ポートフォリオ)を従来の国内債券60%を35%に引き下げ、国内株式、外国株式を50%に引き上げた。そのため昨年7~9月に7.9兆円もの巨額な損失を計上した。GPIFは「長期的な観点から安全かつ効率的な運用」を行うためといっているが、株価は今年にはいってからも低迷しており、国民の不安が一層高まっている。
 このようなもとで、先般安倍首相が衆院予算委員会で、年金積立金の運用状況によっては年金の減額もあり得ると発言し、週刊誌などでも大きく取り上げられている。
 週刊現代(3月5日号)によると、私たちの老後資産である年金積立金が株価の下落に伴い、ものすごいスピードで溶けている、年末まで株価が今の水準で低迷し、日経平均株価が1万5千円を割り込む水準まで下がれば20兆円もの年金資産が消える可能性があると誌上で民主党議員が発言している。また国民の老後資産を株式市場に突っ込んだのはアベノミクスを政権の御旗に掲げた安倍内閣の思惑からに過ぎない。安倍内閣は株価を維持することが支持率の生命線と化した「株価連動内閣」だと、ある大学教授も指摘している。
 株式投資が盛んな米国ですら、公的年金にあたる「社会保障信託基金」はすべて市場で売買できない債券で運用されている。日本の年金積立金135兆円もの巨額資産の半分をリスクのある株式で運用している公的年金は世界を見渡してもGPIFくらいしかないとも言っている。
 社会保障審議会年金部会委員の一人は、年金積立金の運用の在り方について、「専ら被保険者の利益のため」という考え方を基本にすべきと主張しており、GPIF法第3条の「管理運用法人の目的」にも沿うものであり、当然の主張である。
 政府は少子高齢化が進むもとで、将来の年金財政が不安になるとしてマクロ経済スライド制を導入し、 今後30年間も毎年1%以上の年金引下げを続けるといっており、現在でも毎年5兆円程度の積立金を取り崩し で年金給付を維持している状況の下で、積立金の株式運用による損失を膨らませるようでは国民の将来の年金がますます不安になってくる。
 国民の大切な老後資産を守るため年金積立金の株式運用をやめさせよう。

大船仲通での街頭署名

社会保険労務士 夏野弘司

年金トピックス
No.31
2016年1月18日

今年も年金制度改悪を警戒しよう

2015年暮れの報道によると、厚生労働省は2016年度のマクロ経済スライド発動を見送る見通しを明らかにしました。正式には1月下旬に公的年金の支給額として発表されます。これは昨年物価や賃金の上昇が低かったためですが、安心してはおれません。

 昨年暮れの平成28年度予算編成に際して、財政制度等審議会が財務大臣に提出した建議の中の年金分野では、次の6項目を挙げています。

  1. マクロ経済スライドによる調整を極力先送りしないようにすべきであり、可及的速やかに必要な制度改正を進めるべきである。
  2. 今年10月から501人以上の企業で働く短時間労働者に対する被用者保険が適用されるが、さらに適用範囲を拡大することが必要である。
  3. 働ける高齢者の就労を促進するとともに、年金受給の在り方や支給開始年齢の更なる引上げを行うべきである。
  4. 高所得者の年金給付の在り方として、老齢基礎年金の中の国庫負担分相当の年金給付の支給を停止すべきである。
  5. 公的年金等控除を含めた年金課税の在り方については、個人所得課税の総合的かつ一体的な見直しの中で議論していくべきである。
  6. 公的年金削減が続くもとで、老後の所得水準を確保する観点から企業年金・個人年金や金融商品の活用等といった自助努力を促進することが必要。

また、その後開催された社会保障審議会年金部会では、マクロ経済スライドについて物価の上昇が小さい場合や物価下落時に実施できなかった給付の削減分について、物価上昇時にまとめて実施する方向で議論を進めており、そのための法改定を準備しておりましたが、今の通常国会に3月上旬に提出を予定しているようです。

 政府は高齢化の下で社会保障費の自然増の抑制が必要だとして、また、将来の年金受給者の年金財源確保のためにマクロ経済スライドによる年金額調整をデフレ下でも発動できるよう法改定を急ぐ必要があるなどと年金部会でも議論していますが、政府の2016年度予算案では法人税率を引下げ、軍事費5兆円超に増大し、社会保障費抑制が打ち出されています。極めて反国民的な予算案です。

 このような反動的な政治の中で、今年も年金制度改悪が次々と打ち出されることが予想されます、いち早く制度改悪内容等を学習し、反対のこえを拡げ、年金制度改悪を阻止する運動を強めましよう。

社会保険労務士 夏野弘司

月例「年金学習会・相談会」

年金者組合鎌倉支部では2002年2月から毎月1回開催し、通算200回を超えています。現在も継続して学習しています。テキストは『理解しやすい年金講座・公的年金のしくみ』を使用し、講師は社会保険労務士の夏野弘司先生(年金者組合神奈川県本部副委員長)です。年金のしくみや最低保障年金制度について、ごいっしょに学びましょう。場所や開催日は「鎌倉萌」や「組合のチラシ」でもお知らせします。

さまざまな年金問題にとりくみました

いままでも“年金未納問題”、“消えた年金問題”や今年の“3号被保険者問題”などについて学習してきました。また現在は、“税と社会保障の一体改革”が進められようとしており、私たち年金者の生活に直結する改革が進められようとしています。私たちの生活を、私たち自身で守るために、まず私たち自身が年金のしくみやあり方について学ばなければなりません。組合員以外の一般の方のご参加も大歓迎です。

個別の年金なんでも相談も受け付けています

学習会終了後、年金に関する個別のご相談を受け付けます。国民年金、厚生年金、共済年金、企業年金などで分からないこと、困っていることがあったら、学習会終了後、お申し出下さい。現在までもこの相談の結果、“消えた年金”が復活した例がたくさんあり、また遺族年金や障害年金などでの不利を解消するなど、喜ばれています。なお、ご相談の際は、年金特別便などお手元の資料を出来るだけお持ち下さい。

 連絡先
 ・内山 0466-23-7581
 ・公平(きみひら) 0467-41-0927

2024年3月の年金学習会・相談会

3月26日(火)
13:30~16:30
テーマ 24年度の年金制度改定など
NPOセンター大船
(大船駅観音口 徒歩3分)
講師 社労士 夏野弘司さん
参加費無料