年金学習・情報・相談のページ               更新日 2016年1月31日

年金トピックス No.31 2016年1月18日

 年金問題の最新のニュース、情勢を“年金トピックス”としてお届けしています。執筆は、年金者組合神奈川県本部特別執行委員で、鎌倉支部の年金学習会の講師を務めていただいている社会保険労務士の夏野弘司さんです。

今年も年金制度改悪を警戒しよう

 2015年暮れの報道によると、厚生労働省は2016年度のマクロ経済スライド発動を見送る見通しを明らかにしました。正式には1月下旬に公的年金の支給額として発表されます。これは昨年物価や賃金の上昇が低かったためですが、安心してはおれません。
 昨年暮れの平成28年度予算編成に際して、財政制度等審議会が財務大臣に提出した建議の中の年金分野では、次の6項目を挙げています。

  1. マクロ経済スライドによる調整を極力先送りしないようにすべきであり、可及的速やかに必要な制度改正を進めるべきである。
  2. 今年10月から501人以上の企業で働く短時間労働者に対する被用者保険が適用されるが、さらに適用範囲を拡大することが必要である。
  3. 働ける高齢者の就労を促進するとともに、年金受給の在り方や支給開始年齢の更なる引上げを行うべきである。
  4. 高所得者の年金給付の在り方として、老齢基礎年金の中の国庫負担分相当の年金給付の支給を停止すべきである。
  5. 公的年金等控除を含めた年金課税の在り方については、個人所得課税の総合的かつ一体的な見直しの中で議論していくべきである。
  6. 公的年金削減が続くもとで、老後の所得水準を確保する観点から企業年金・個人年金や金融商品の活用等といった自助努力を促進することが必要。

 また、その後開催された社会保障審議会年金部会では、マクロ経済スライドについて物価の上昇が小さい場合や物価下落時に実施できなかった給付の削減分について、物価上昇時にまとめて実施する方向で議論を進めており、 そのための法改定を準備しておりましたが、今の通常国会に3月上旬に提出を予定しているようです。
 政府は高齢化の下で社会保障費の自然増の抑制が必要だとして、また、将来の年金受給者の年金財源確保のためにマクロ経済スライドによる年金額調整をデフレ下でも発動できるよう法改定を急ぐ必要があるなどと年金部会でも議論していますが、政府の2016年度予算案では法人税率を引下げ、軍事費5兆円超に増大し、社会保障費抑制が打ち出されています。極めて反国民的な予算案です。
 このような反動的な政治の中で、今年も年金制度改悪が次々と打ち出されることが予想されます、いち早く制度改悪内容等を学習し、反対のこえを拡げ、年金制度改悪を阻止する運動を強めましよう。

社会保険労務士 夏野弘司

 私たちの年金、私たちでもっと知ろう!! 年金者組合鎌倉支部では、毎月、「年金学習会」を開催し、夏野さんを講師にお願いし、年金制度の基礎とともに、最新のニュースやトピックスについての解説を聞き、話し合い、学んでいます。個別の相談も行っています。学習会はどなたでも参加できます。 月例学習会のご案内をご覧の上、ぜひご参加下さい。

 日本年金者組合では、インターネット上の年金相談をひろく活用してもらうために、首都圏年金相談ネットワークを開設しました。夏野弘司さんが代表を務めています。年金相談の実例がたくさん掲載されていますので、こちらもご覧下さい。

 首都圏年金相談ネットワーク 

年金トピックス No.30 2015年10月10日

 年金問題の最新のニュース、情勢を“年金トピックス”としてお届けしています。執筆は、年金者組合神奈川県本部特別執行委員で、鎌倉支部の年金学習会の講師を務めていただいている社会保険労務士の夏野弘司さんです。

マイナンバーの個人番号カード申請は要注意

 10月5日以降、住民票を持つ人、赤ん坊からお年寄りまで全員に12桁の番号通知が届くことになっており、マイナンバーに関する報道が増えている。そのためマイナンバー通知とは一体どういうものなのか、簡易書留で届いたらどうすれはいいのかという相談が多い。最近の内閣府の調査でも国民の半数以上が、マイナンバー制度についてよく知らないと答えている。
 政府は2013年に社会保障と税の共通番号制度として「マイナンバー法」を成立させた。税金や保険料徴収を強化し、社会保障給付の抑制がネライであり、当面は社会保障分野、税制分野、災害対策分野の利用となっているが、3年後からは預金口座、特定健診情報、予防接種履歴などにも利用範囲を拡大することが先般の国会で決められている。年金番号とマイナンバーの紐付けは、先の年金情報流出事件があったため、2,3年先延ばしになる模様だが、今後広範な分野に利用範囲拡大を進めようとしている。政府はマイナンバー制により行政に対する諸手続きの際の添付書類が不要となり、国民にとって利便性が高まることを宣伝しているが、一旦番号漏えいなどの事件があると危険性は今まで以上に甚大となる。アメリカの社会保障番号による事件は、2014年には1200万人以上の詐欺被害があったと報道されており、イギリスでも問題が多いため廃止に向けて検討中で現在は停止中といわれている。
 政府はマイナンバー制度普及のため、消費税率10%時の軽減税率の方策として、酒類を除く飲食料品店でマイナンバーカードを提示して消費税2%分を還付するという財務省案を発表したが、世論調査でも7割以上が反対しており、各方面からも異論の声が上がっている。
 マイナンバー制度は2016年1月からスタートし、希望者にはマイナンバーの個人番号カードが交付されることになっているが、危険性のあるマイナンバー制度を普及させないためにも、個人番号カードの申請をしない運動も必要ではないだろうか。

社会保険労務士 夏野弘司

年金トピックス No.29 2015年8月23日

 年金問題の最新のニュース、情勢を“年金トピックス”としてお届けしています。執筆は、年金者組合神奈川県本部特別執行委員で、鎌倉支部の年金学習会の講師を務めていただいている社会保険労務士の夏野弘司さんです。

マクロ経済スライド制を廃止せよ!

 今年4月分の年金から、2004年に決められたマクロ経済スライド制が初めて発動されました。今後、消費者物価や賃金が上がっても年金額は実質的に目減りすることになり、公的年金の物価スライド制が実質的に破壊されることになります。昨年発表された5年に一度の「財政検証」でも、年金を受給し始める65歳時の年金額が10年、20年後には2割、3割減額されることになるといっています。しかもこのマクロ経済スライドによる調整が今後30年近くも続くといわれています。
 厚労省が7月2日に発表した「国民生活基礎調査」では、高齢者世帯については公的年金が減って一世帯当たりの平均所得が前年比2.8%減少し、世帯の生活意識調査でも生活が苦しいという声が62.4%と前年59.9%を上回って、調査開始以来最悪となりました。
 いま、全国の年金者組合で年金減額は憲法違反だとして集団訴訟に立ち上がっていますが、その訴状には年金が月9万円弱で、そこから家賃を月5万円支払った残りで生活せざるをえないため、毎日の食費を切り詰めているなど、何人もの原告が苦しい生活実態を訴えて憲法25条の生存権保障を求めています。
 安倍政権は、経済財政の「骨太の方針」を6月30日に閣議決定し、「財政健全化」目標を達成するため、高齢化で増える社会保障費の自然増分を毎年3千億~5千億円削減することが盛り込まれており、医療・介護の負担引上げ、年金・生活保護の給付削減の方針を掲げています。
 高齢者、年金受給者がだまっていれば、将来の年金受給者(現役の若い人)を含めて、日本の社会保障制度は破壊されてしまいます。
 政府は、少子高齢化のもとでマクロ経済スライド制が必要だといっていますが、少子化社会を作り出した責任は政府にあり、高齢者、年金受給者にその責任を負わせようとすることを許すわけにいきません。
 マクロ経済スライド制を廃止し、安心できる年金制度を実現させる運動を拡げましょう。

社会保険労務士 夏野弘司

年金トピックス No.28 2015年7月7日

 年金問題の最新のニュース、情勢を“年金トピックス”としてお届けしています。執筆は、年金者組合神奈川県本部特別執行委員で、鎌倉支部の年金学習会の講師を務めていただいている社会保険労務士の夏野弘司さんです。

安心できる年金制度を実現させよう

 今年4月分の年金から2004年に決められたマクロ経済スライドが初めて発動され、今年度の年金額改定率は2.3%と決まったのだから、本来ならば2.3%の年金額引上げになるところ、特例水準解消の0.5%とマクロ経済スライドのスライド調整率0.9%が引かれて年金額引上げは0.9%だけとなります。
 6月上旬に「年金額改定通知書」が届き6月振込分から増額になります。名目上は0.9%の増額ですが、昨年の消費者物価上昇率は2.7%ですから実質1.8%の目減りとなります。
 そして、このマクロ経済スライドによる年金額のスライド調整は今後毎年1%以上の引下げが30年近く続くといわれています。
 全日本年金者組合では、これ以上年金が下げられたら暮らしていけない、若い人の将来の年金も不安になるとして、マクロ経済スライド制を廃止して、最低保障年金制度をつくれなどを要求しており、年金引下げに反対する運動の柱として、2013年10月分から特例解消による1%年金が引下げられたことに対して、憲法違反だとして裁判闘争を進めることにしており、すでに鳥取県で24人、徳島県で16人、北海道で142人が原告となってそれぞれの地裁に集団で提訴しました。今後さらに全国各地で提訴が続くことになっています。
 年金生活者の尊厳を守るため、憲法25条の生存権を中心的争点にして、憲法13条(幸福追求権)、憲法29条(財産権)違反として争うことですすめております。年金削減の不当性を広く世間に訴えて、政府の医療・介護を含む社会保障制度改悪の動きを阻止する大きな与論を確立するとして、裁判闘争と併せて「若い人も高齢者も安心できる年金制度を」の幅広い署名活動を年金者組合、全労連、社保協議会が共同で進めることになっています。
 ぜひ皆様のご家族、ご親戚、お知り合いの人など、すべての人に呼び掛けて安心できる年金制度実現のために積極的にこの運動にご参加いただくようお願いします。

社会保険労務士 夏野弘司

年金トピックス No.27 2015年2月7日

 年金問題の最新のニュース、情勢を“年金トピックス”としてお届けしています。執筆は、年金者組合神奈川県本部特別執行委員で、鎌倉支部の年金学習会の講師を務めていただいている社会保険労務士の夏野弘司さんです。

4月分年金から実質1.8%目減り

 厚労省は1月30日、4月からの年金支給額について0.9%引き上げると発表した。総務省が同日公表した2014年の消費者物価指数が前年より2.7%上がったことと、賃金上昇率が2.3%だったことにより、物価上昇率が賃金上昇率を上回る場合は賃金に合わせて年金額を改定することとなっているため、4月からの年金額改定率は2.3%となった。
 しかし、今年4月からは特例水準(2.5%)解消の残りの0.5%が引き下げられ、特例水準が解消されるため04年に決められたマクロ経済スライドのスライド調整率0.9%が引下げられることになり、年金改定率2.3%-特例解消0.5%-マクロ発動0.9%=0.9%の年金額改定率となる。1938年(昭和13年)以後生まれの人の厚生年金の額は、すでに昨年特例水準が解消されているので、4月からの改定率は1.4%となる。
 国民年金満額の人で、月額+608円で6万5008円、厚生年金(標準世帯の夫婦の基礎年金を含めて)月額+2,441円で22万1507円となり、6月初旬に年金額改定通知書が届き、6月15日振込分から改定される。
 「年金額が16年ぶりに引き上げられる」とマスコミで大きく報道されているが、消費者物価が2.7%上がっているのに、年金改定率は0.9%で実質1.8%も年金が目減りしたことになる。
 マクロ経済スライドの制度は04年に決められたが、それ以来デフレ経済が続いたため一度も発動されなかった。安倍内閣は今後デフレ下でも発動できるよう法改悪を準備している。しかも今後30年間にわたってマクロ経済スライドによる年金削減を続け、国民年金は3割、厚生年金は2割もの削減を強行しようとしている。

 このようなマクロ経済スライドとやらを許していては、高齢者、年金生活者の生活は破壊されてしまう。
 年金者組合で、今準備している年金削減反対の裁判闘争に積極的に参加し、今の年金受給者だけでなく、将来の年金受給者となる現役世代の若い人たちにも呼びかけて、広範な連帯と団結で運動を拡げ、マクロ経済スライド制度の廃止と最低保障年金制度の実現を掲げ、すべての国民が安心できる年金制度を実現させよう。

社会保険労務士 夏野弘司

年金トピックス No.26 2014年12月22日

 年金問題の最新のニュース、情勢を“年金トピックス”としてお届けしています。執筆は、年金者組合神奈川県本部特別執行委員で、鎌倉支部の年金学習会の講師を務めていただいている社会保険労務士の夏野弘司さんです。

年金受給資格期間10年を直ちに実施させよう

 消費税増税10%が条件となっていた年金の受給資格期間25年を10年に短縮することが、このたび消費税増税が先送りされたため実施が先延ばしされようとしている。
 10年以上の加入期間はあるが25年の受給資格を満たさないため無年金となっている人が2007年の厚労省公表でも約17万人となっている。
 先日70歳過ぎたご夫婦から年金加入記録について相談があり、年金事務所で調査したら、夫が約14年、妻が約22年の加入期間であり、お二人とも残念ながら受給資格を満たしておらず、70歳過ぎであるため国民年金の任意加入もできないため、2015年10月からの受給資格期間10年で年金がもらえるようになるから元気で頑張るよう励ましていた。ご夫婦は2015年10月を楽しみにして仕事に励み生計を立てている。
 また、2012年10月から始まった国民年金保険料の後納制度に関する相談受付の際に、2015年10月から10年で受給資格を得ることができることを説明して保険料納付を勧めた多くの無年金者もいる。
 年金者組合では、以前から受給資格期間10年を要求しており、国も最近の国際的な社会保障協定締結が進んでいるもとで、国際比較でも長すぎる25年を10年に短縮することを2012年に立法化したが、そのための財源として消費税率10%増税を条件としていた。
 消費税増税と切り離して受給資格10年を実施せよ、という年金者組合の厚労省要請に対して厚労省はそのためには300億円の財源が必要だといっているが、政党助成金320億円を廃止すれば財源は確保できるし、年金積立金130兆円とその運用益などで十分財源は確保できるはずである。
 20万近い65歳以上の無年金者の生活のために、このたびの総選挙で議案提案権を得た日本共産党にも要請して、直ちに受給資格期間10年を実施させよう。

社会保険労務士 夏野弘司

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年金トピックス No.25 2014年10月12日

 年金問題の最新のニュース、情勢を“年金トピックス”としてお届けしています。執筆は、年金者組合神奈川県本部特別執行委員で、鎌倉支部の年金学習会の講師を務めていただいている社会保険労務士の夏野弘司さんです。

国は公的年金の責任を果たせ

 少子高齢化で公的年金は先細りせざるを得ないので、老後の所得保障は企業年金や私的年金で補完するしかないとして、社会保障審議会の年金部会や企業年金部会では、公的年金のスリム化は避けられないとした前提で審議が進められています。
 年金部会では、財政検証でも発表されたデフレ下でもマクロ経済スライドの発動ができること、高齢者や女性に多く働いてもらい、厚生年金の保険料を掛けてもらうことや、年金の支給開始年齢をさらに引き上げることなどが検討されています。
 また企業年金部会では厚生年金基金制度廃止の方向が進められている下で、確定給付型(DB)から企業がリスク負担を負わず、労働者の自己責任を押し付ける確定拠出型(DC)の普及を広げるための施策が検討されています。
 どちらの部会も12月頃までに議論をまとめて来年の通常国会に法案が上程される予定で審議が進められていますので、今後の審議内容等に十分注意が必要です。
 2012年強行可決された「社会保障と税の一体改革」関連法として成立した「社会保障制度改革推進法」では、社会保障の基本的な考え方を「自立・自助」を基本に「自立した生活」を家族や国民相互の「助け合い」によって支援することが社会保障だとし、国の責任を放棄しています。
 少子化により保険料収入が減るのであれば、不足分は国庫負担でカバーすべきであり、憲法25条2項で定められている国の責任ではないでしょうか。
 若い世代が結婚、出産、子育てが展望できるような雇用、賃金、教育政策へ転換することも国の責任として重要だと考えます。
 「国庫負担による最低保障年金制度を直ちに実現せよ」という声を今まで以上に大きくしていく必要があると思うし、いま全日本年金者組合が進めている「20万請願大運動」を50万、100万と大きく広げるような構えで取組を飛躍させることが必要だと思います。
 この大運動は、内閣総理大臣への直訴「年金とくらし守れ」請願書で、年金受給者以外、未成年者でも参加できる憲法で保障された請願運動であり、ぜひご家族、ご友人の皆さんなどへ幅広く呼び掛けていただき、運動を大きく広げましょう。

社会保険労務士 夏野弘司

年金トピックス No.24 2014年7月27日

 年金問題の最新のニュース、情勢を“年金トピックス”としてお届けしています。執筆は、年金者組合神奈川県本部特別執行委員で、鎌倉支部の年金学習会の講師を務めていただいている社会保険労務士の夏野弘司さんです。

年金積立金の株式運用を拡大するな

 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は7月4日、2013年度の運用益が10兆円以上だったと発表した。昨年11月以降運用資産比率を見直し、国債の比率をへらし株式の比率を高めた結果だと業務概況書で説明している。
 安倍首相は1月のスイス、ダボスの世界経済フォーラムで「GPIFは成長への投資に貢献する」と宣言し、6月下旬閣議決定した安倍政権の成長戦略でGPIFの運用比率見直しを「できるだけ速やかに実施」と明記し、国内債券の割合を下げて国内株式などに振り向ける方向で作業が進められており、今秋にもさらに見直される予定となっている。
 年金積立金は約130兆円あり、1%が市場に投入されれば株式市場に大きな影響を与える。
 このような運用見直しは、政権の支持率維持を目的とした国家的な株価操作であり、政府による市場への介入だと、学者や市場関係者の批判の声もあがっている。米国では、このような政府の介入を懸念し、公的年金(OASDI)約240兆円の積立金を全額、非市場性の財務省証券で運用されている。
 株式比率を高めると高利回りが狙える反面、運用成績が悪いと積立金が目減りして将来の年金額が減るリスクを抱え込むことになる。
 年金積立金は国民の財産であり、安全、確実な運用を求めるべきであり、株価対策のために株式運用比率を拡大するなどは絶対に認められない。
 また、GPIF運用委員会は経済、金融の学識経験者等から厚労大臣が任命した委員で構成されることになっているが、積立金の運用に関する提言をした有識者会議のメンバーにGPIFから運用を委託されているJPモルガン、野村、大和、など証券会社のエコノミストが名を連ねており、運用上の利害関係人として問題があると思う。
 2001年3月までは、大蔵省資金運用部が年金積立金を全額預かり、郵便貯金の資金などを含めて財政投融資の資金として公共事業や国民の住宅建設資金などへ融資してきたが、天下り問題やグリーンピアの大幅な赤字経営などの問題があり、2006年4月から現在のGPIFが設立された。
 GPIFの巨額年金積立金については、その必要性やあり方を含め管理運用について、加入者、受給者の意見を反映させる仕組みの検討を求めたい。

社会保険労務士 夏野弘司

年金トピックス No.23 2014年6月13日

 年金問題の最新のニュース、情勢を“年金トピックス”としてお届けしています。執筆は、年金者組合神奈川県本部特別執行委員で、鎌倉支部の年金学習会の講師を務めていただいている社会保険労務士の夏野弘司さんです。

年金30年後には2割削減
――― 年金財政検証の結果公表 ―-―

 公的年金制度では、2004年改定で自動的に給付と負担の均衡を図るしくみが導入され、5年ごとに被保険者数と受給者数の人口要素と、物価上昇、賃金上昇、運用利回りなどの経済要素をもとに年金の財政検証が行われることとなっており、今年度が04年から2度目の財政検証の年になっている。
 6月3日厚労省は社会保障審議会年金部会の検証結果を公表した。 厚労省は100年安心の財政状況の見通しがまとまったとして、年金の支給額を一定の割合で強制的に抑制する措置を基本に、次のような制度改定に向けた検討を本格化させ、年内にも具体案を取りまとめたいとしている。
 改定内容は 
  ①マクロ経済スライドをデフレ下でも発動する
  ②週20時間以上働くパート労働者などに対する厚生年金の適用拡大
  ③国民年金保険料を5年延長して65歳まで強制加入にする
  ③高齢期における就労と年金受給の在り方
  ⑤高所得者の年金給付及び年金課税の在り方
 厚労省は、高齢者は少しでも長く働いて保険料を納付してもらい、年金受給開始年齢を遅らせてもらいたいとして、先日厚労大臣が75歳まで受給を繰り下げる制度を検討すると発表したため、週刊誌などから「寿命までに元はとれない」「高齢者から死ぬまで搾り取り」など、激しい表現で批判されている。
 非正規雇用や低賃金労働をなくす政策をすすめれば、保険料収入も増えて年金財源も確保できるはずだし、基礎年金を全額税による最低保障年金制度とする改革を実行すれば、高齢者の生存権を脅かすような年金給付削減をしなくても年金財政は維持できるのではないだろうか。
 少子高齢化のもとで保険料収入が増えず、年金給付額が増えるので、マクロ経済スライドというしくみで毎年1%以上も年金削減を続けなければ年金財源が維持できないといっているが、そもそも年金のような社会保障財源は憲法第25条2項にうたわれているように国の責任で確保すべきものであり、負担能力のある大企業や大資産家への応分の税金・社会保障の負担を求めるという応能負担を原則とした考えで社会保障財源を維持することが基本だと思う。
 今後、厚労省の制度改定内容を十分注視することが重要であると同時に、年金引下げに反対する運動にもみんなで積極的に参加しよう。

社会保険労務士 夏野弘司

年金トピックス No.22 2014年5月5日

 年金問題の最新のニュース、情勢を“年金トピックス”としてお届けしています。執筆は、年金者組合神奈川県本部特別執行委員で、鎌倉支部の年金学習会の講師を務めていただいている社会保険労務士の夏野弘司さんです。

無年金障害者を救済しよう

 身体障害者福祉法による身体障害者手帳の交付を受けている障害者総数(精神障害、知的障害者を含む)は現在788万人となっているが、その中で障害年金受給者数は239万人しかいない、約7割の人が無年金障害者である。
 厚労省の全国的なサンプル調査結果によると、無年金障害者のうち障害の程度が年金の基準に該当しない人が45%、障害年金の制度を知らなかった人が19%、請求手続き方法が判らなかった人が5%などとなっていたが、その後の調査で8%の人が障害年金を受給できることになった。身体障害者手帳の等級と、障害年金の等級基準とは異なるため手帳の1級・2級が必ず障害年金の1級・2級に該当することではない。障害年金の等級は身障者手帳の等級より厳しい認定基準となっている。障害年金は傷病の初診日に加入していた年金制度から支給されることになっており、国民年金か厚生年金か共済年金かによって障害等級や年金額が異なってくる。また、初診日前の保険料納付、免除などの加入期間が条件となっているため、いくらひどい障害であってもこの納付要件を満たしていなければ障害年金は支給されない。
 最近の年金相談で、身障者手帳1級の視力障害の人が障害年金をもらっていなかったため、病院に同行して本人の視力障害の病歴などを、医師に説明を求め初診日から1年6か月の障害認定日と現在の症状に変化がないという診断書をもらい、2級の障害基礎年金約79万円を受給できることとなり、さらに過去5年分遡及して約400万円の一時金も後日振り込まれた。
 このような身障者手帳1級の人でも障害年金を受給していない人がたくさん周りにいると思われるので、身障者手帳を持っている人には、障害年金をもらっているか声をかけることが大切だと思う。

社会保険労務士 夏野弘司

年金トピックス No.21 2014年3月26日

 年金問題の最新のニュース、情勢を“年金トピックス”としてお届けしています。執筆は、年金者組合神奈川県本部特別執行委員で、鎌倉支部の年金学習会の講師を務めていただいている社会保険労務士の夏野弘司さんです。

年金制度改正を活用して無年金者を救済しよう

 2014年4月から「年金機能強化法」の施行に伴い、いくつかの制度改正が行われるが、なかでも注目したいのは「国民年金任意加入者の未納期間の合算対象期間への算入」という改正内容だ。
  1986年(昭和61年)3月以前のサラリーマンの妻は国民年金に加入しなくてもよい制度であったため、多くの妻が未加入であったが、年金の受給資格の25年を計算するときは合算対象期間(カラ期間)として算入されることになっていた。ところが任意加入をしたけれど保険料納付が続けられなくて未納となっていた期間はカラ期間として計算されなかった。そのため受給資格が満たされない妻が多かった。これが今回の制度改正でカラ期間として算入されることになった。
 先日の年金相談で次のような相談事例があった。現在66歳の遺族年金をもらっている女性が、自分の老齢基礎年金は受給資格期間が不足していてもらっていないということなので、年金事務所で加入記録等を調査したら昭和51年に任意加入の申し込みをし、1年間は保険料を納付したが、その後9年間は経済的に余裕がなく保険料未納が続いていた。そのため若いころからの加入期間がカラ期間を含めても16年程度しかなく自分の年金はもらっていなかった。
 今回の改正で4月以降は国民年金納付済約8年間分の老齢基礎年金、年額約15万円を現在もらっている遺族厚生年金と合わせて受給できることになる。
 厚労省の6年前の発表でも、65歳以上の期間不足の無年金者が42万人、65歳未満の無年金見込者を含めた無年金者は118万人と推計されている。4月以降消費税が8%に増税され、年金受給者は0.7%年金引下げが強行され、家計が一層厳しくなるが、無年金者の生活困窮度は益々ひどくなる。
 みなさんの知人、友人その他にこのような無年金者がいれば、ぜひ過去の加入記録を調査するなど年金者組合として援助したい。現在このカラ期間を算入してもおよそ25年には届かないという人でも、来年10月からは加入期間10年で年金が受給できることに法律が改正されているので、ぜひあきらめないで年金者組合に連絡してもらいたい。

社会保険労務士 夏野弘司

年金トピックス No.20 2014年2月22日

 年金問題の最新のニュース、情勢を“年金トピックス”としてお届けしています。執筆は、年金者組合神奈川県本部特別執行委員で、鎌倉支部の年金学習会の講師を務めていただいている社会保険労務士の夏野弘司さんです。

正規雇用を増やし、賃上げを実現させれば、年金財源は確保できる

 2014年は5年に一度の年金制度の財政検証が実施される年であり、厚労省の社会保障審議会年金部会において議論が始まっている。財政検証では人口や経済の今後の見通しを踏まえて、年金財政に与える影響などを検証し、負担と給付の仕組みなどが議論されている。1947年~49年生まれの「団塊世代」約700万人が65歳となり、今後後期高齢者となる75歳を迎える2022年頃の年金財源を確保するため、物価、賃金の伸びが低い場合でもマクロ経済スライドによる給付調整が発動できる仕組みや年金支給開始年齢の引上げ、就労期間と年金受給期間の均衡を図る視点からとして、20歳から65歳まで保険料拠出期間を延長することなどが検討されており、さらに負担を増やし給付抑制を強めようとしている。
 最近、非正規雇用労働者が2千万人以上、全労働者の37%以上となっており、その多くが社会保険未加入であり、例え加入していても低賃金である。2年後2016年4月から501人以上規模の企業では、所定労働時間が週20時間以上の短時間労働者を被用者保険の適用対象とすることが決められているが、それだけでなく現在の大企業に正規雇用労働者を増やし厚生年金加入者となり、賃上げにより標準報酬が高くなれば厚生年金保険料収入総額が増加し、受給者の年金引下げをしなくても年金財源は確保できるはずだ。また、正規雇用者がふえ、経済的な安定が見込めれば、結婚し子供を持つ若者も増えて少子化克服にも繋がるのではないだろうか。
 最近の報道によると、ドイツでは2007年に年金支給開始年齢を67歳に引上げる法律が成立していたが、今年政府の労働社会政策の施政方針で年金支給年齢を67歳から63歳に引下げるなどの年金改革が提案され、議会で採択されれば今年7月から実施される予定となっている。日本政府もドイツに見習ってほしいものだ。

社会保険労務士 夏野弘司

年金トピックス No.19 2014年1月7日

 年金問題の最新のニュース、情勢を“年金トピックス”としてお届けしています。執筆は、年金者組合神奈川県本部特別執行委員で、鎌倉支部の年金学習会の講師を務めていただいている社会保険労務士の夏野弘司さんです。

遺族年金制度改悪は大問題

 2012年8月に成立した「年金機能強化法」により、今年4月から父子家庭にも遺族基礎年金が支給されることになる。これまでは夫が死亡した場合に、残された遺族が18歳未満の子がある妻という、いわゆる母子家庭にのみ遺族基礎年金が支給されることとなっていた。最近、共働き世帯が増加している状況のもとで、制度上の男女差を解消するため改正されたものであり、歓迎できる制度改正であるといえる。
 ところが、この法律施行にあたり、厚労省から発表された政令案によると、第3号被保険者が死亡した場合には世帯の生計を維持していないという理由で遺族年金を支給しない、ということが盛り込まれており、折角父子年金制度ができても妻が第3号被保険者期間中の死亡の場合は遺族基礎年金は支給されないことになる。これでは現行制度より改悪ではないかという批判の声があがっている。
 また、第3号被保険者は、一般にはサラリーマンの妻といわれているが、現在夫が第3号被保険者となっている人が約11万人おり、例えば夫が厚生年金に長く加入していたが、病気のため会社を退職し、厚生年金に加入して働いている妻 の被扶養者となり、その後、夫が第3号被保険者期間中に死亡した場合には、18歳未満の子がいても遺族基礎年金が支給されない。そればかりか、これまでの制度なら支給されていた厚生年金からの遺族年金も支給されないことになる。
 遺族基礎年金、遺族厚生年金の受給要件を厳しくする今回の遺族年金制度改悪は大問題であり、政令案を改めさせるようみんなで声を大きくすることが必要だと痛感している。
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1月25日 追記
1月9日 厚労省、政令案から問題部分を取り消す!!
 年金トピックスNO19を掲載したあと、1月9日に厚労省が「第3号被保険者」の死亡の場合は遺族年金を支給しないとした政令案に対して批判が続出したことから、この部分を政令案から取り消すと発表した。
 このことは、国民が声を大きくしていくことが重要だということを示しており、喜ぶべきことではあるが、厚労省はこんご今年度中に改めて議論し、法改正も検討するといっているので決して安心するわけにはいかない、厚労省は少しでも給付を削減することを考えているようなので、今後の法改正にも十分警戒しておくことが重要だ。

社会保険労務士 夏野弘司

年金トピックス No.18 2013年11月2日

 年金問題の最新のニュース、情勢を“年金トピックス”としてお届けしています。執筆は、年金者組合神奈川県本部特別執行委員で、鎌倉支部の年金学習会の講師を務めていただいている社会保険労務士の夏野弘司さんです。

不服審査請求を成功させよう!!

 10月分の年金から「特例水準解消」の2.5%引下げが始まります。12月支給分から1%、来年4月分から1%、2015年4月分から0.5%の引下げです。
 この「特例水準」が解消されると、その後25年以上にわたって「マクロ経済スライド」のスライド調整により毎年1%以上の年金引下げが続けられます。
 「特例水準解消」だけでも、厚労省の発表で標準世帯(平均的な給与で40年間厚生年金に加入した夫と40年間専業主婦を続けた妻の世帯)で年額7万円以上の年金引下げとなります。さらに2014年4月から2015年10月にかけて消費税増税が予定されており、この標準世帯の場合、約13万円の税負担増となります。
 かたや、今の国会で審議が始まっている「社会保障改革プログラム法案」によると、「自立・自助」を口実に介護、医療、年金、保育などの負担増と給付減などの制度の大改悪が盛り込まれています。
 今回の年金者組合の10万人規模の「不服審査請求運動」は、年金引下げの流れを変え社会保障制度解体政策見直しを迫る闘いです。
 いまマスコミなども「10万人高齢者の大反乱」などと注目しています。
 全国3千万人を超える年金受給者が不安や怒りを抱えています。知人、友人、地域の老人会や町内会などにも「不服審査請求運動」への参加を呼びかけ、併せて年金者組合への加入も働きかけましょう。
 審査請求の流れは、12月初旬に日本年金機構から「年金額改定通知書」が送られてきてから60日以内に審査請求書を年金事務所に提出することになっています。審査請求書の記入の仕方がわからない場合は、年金者組合にお尋ねください。請求者のお体がご不自由などの際は代理人が記入することもできます。
 請求が却下された場合は、再審査請求ののちに裁判もできます。
 この「不服審査請求」の大運動を成功させ、社会保障制度改悪をもくろむ安倍政権を追い詰めましょう。

社会保険労務士 夏野弘司

年金トピックス No.17 2013年10月11日

 年金問題の最新のニュース、情勢を“年金トピックス”としてお届けしています。執筆は、年金者組合神奈川県本部特別執行委員で、鎌倉支部の年金学習会の講師を務めていただいている社会保険労務士の夏野弘司さんです。

専業主婦(夫)年金期間のある人はご注意

 7月から専業主婦の国民年金(第3号被保険者)が改正された。サラリーマンの夫が脱サラして自営業を始めたり、65歳を超えていたり、死亡したり、または妻自身の収入が130万円を超えて夫の扶養から外れていたなどにより、妻が第3号被保険者に該当しなくなったにも拘わらず日本年金機構の記録が3号のままとなっている人の話であり、「3号不整合記録問題」といわれている。
 3号被保険者制度とは1986年にできた制度で、サラリーマンなどの夫(2号被保険者)の被扶養配偶者で保険料納付不要だが納付済みの期間となる制度だ。
 国民年金保険料納付は2年で時効となるため、通常は2年以上前の記録の訂正はできないが、今回の法改正で不整合期間のある人は、年金機構から送られてくる「時効消滅不整合期間に係る特定期間該当届」という用紙を提出することにより、不整合期間がカラ期間扱いと なり受給資格期間に算入される。また、2015年4月から18年3月の3年間保険料の特例納付が認められる。但し3号扱いで計算されていた年金を受給している人が特例納付をしない場合2018年4月以降、不整合期間の年金額の10%がカットされることもある。
 もしこの該当届を提出しなかった場合は、今まで3号扱いで計算された年金を受給していた人が2018年4月以降受給資格がなくなり無年金になることもある。
 現在、3号不整合期間の記録が訂正されていない年金受給者が全国で約5万人、現役層で42万人と推計されている。
 3号不整合期間のある人は「特定期間該当届」の提出を忘れないようご注意を !

社会保険労務士 夏野弘司

年金トピックス No.16 2013年9月5日

 年金問題の最新のニュース、情勢を“年金トピックス”としてお届けしています。執筆は、年金者組合神奈川県本部特別執行委員で、鎌倉支部の年金学習会の講師を務めていただいている社会保険労務士の夏野弘司さんです。

恩給期間の年金削減は許されない

 昨年8月成立した「被用者年金一元化法」で、恩給期間を含む退職共済年金を受給している国家公務員、地方公務員退職者の年金が今年8月分から削減されることになった(10月支給分から)。
 国家公務員の昭和34年10月前の就職者と地方公務員の昭和37年12月前に就職した人が対象となり、恩給期間は保険料の本人負担が少なかったため国の追加費用削減を目的として実施するというものだ。
 削減額は恩給期間に係る給付の27%か、現在受給している年金額の10%か、どちらか少ない額となっており、減額後の額は年額230万円以上とすることとなっている。
 各共済組合の推計では、減額対象者が国家公務員共済では約21万人、地方公務員共済では約72万人と発表している。国鉄、電電、専売の旧三公社の恩給期間の年金減額は、2015年10月実施となっている。
 定年まで学校の教員として、頑張ってきた90歳のA子さんは年額で約30万円の年金削減となり、「国の 追加費用削減のために、どうして私たち戦前から苦労してきた世代が犠牲にならなければならないのか」と怒りに声を震わせている。さらに、これらの恩給期間分の年金が削減された上に、10月分からは特例水準解消による2.5%の引き下げが始まり、その後はマクロ経済スライドが発動されることになる。何としても年金削減を食い止めなければならない。
 年金者組合も参加している全日本退職者組織協議会では、財産権の侵害であるとして、2007年頃から運動をすすめてきた。
 年金者組合としても行政不服審査請求も含めて大きく運動を広げることが重要である。

社会保険労務士 夏野弘司

年金トピックス No.15 2013年8月9日

 年金問題の最新のニュース、情勢を“年金トピックス”としてお届けしています。執筆は、年金者組合神奈川県本部特別執行委員で、鎌倉支部の年金学習会の講師を務めていただいている社会保険労務士の夏野弘司さんです。

マクロ経済スライドが発動されると年金はどうなるか

 わが国の年金制度では、急激なインフレになっても年金生活者が困らないよう、年金額は毎年物価や賃金の上昇率に応じてスライドされることとなっている。
 ところが、2004年にマクロ経済スライド制が導入され、スライド調整率(0.9%以上)を差し引いた改定率を適用して年金額を決めることとなった。
 スライド調整率は、少子化による現役世代の減少率(0.6%)と平均余命の伸び率(0.3%)から算出されることとなっている。
 たとえば、物価が2%上昇しても、スライド調整率が0.9%であった場合、年金額は1.1%しか増えないこととなり、実質的に年金価値が目減りすることとなる。この調整期間を25年以上続ける見込みとなっている。
 しかし、04年以降デフレが続いてきたため、まだ一度もこのマクロ経済スライド制が発動されたことがなかった。
 今年10月から2015年4月までの間に特例水準解消が実施されたときや、仮に来年4月から物価上昇率2%の年金額改定があるとしたら、そのときは特例水準1.5%が解消され、スライド調整率0.5%のマクロ経済スライドが発動されることとなる。
 物価が2%上がっても年金額改定はゼロということになる。
 社会保障制度国民会議では、デフレ下でもマクロ経済スライドが発動できるよう法改正をすべきだなどという議論もされている。
 年金生活者にとっては、お先真っ暗なマクロ経済スライド制度だ。その発動の突破口となる今年10月分からの特例水準解消の年金引き下げを何としても食い止めなければならない。

社会保険労務士 夏野弘司

年金トピックス No.14 2013年6月23日

 年金問題の最新のニュース、情勢を“年金トピックス”としてお届けしています。執筆は、年金者組合神奈川県本部特別執行委員で、鎌倉支部の年金学習会の講師を務めていただいている社会保険労務士の夏野弘司さんです。

年金積立金をアベノミクスに利用させるな

 6月初旬の株式市場乱高下の際に、年金積立金が大量に株式市場に投入され、株価が急上昇したなどのニュースが大きく報道された。
 厚生年金や国民年金の積立金を運用する厚生労働省所管の組織「年金積立金管理運用独立行政法人」(GPIF)が国内外の株式、債券などの金融資産を種類ごとに投資先の割合を定めているが、このたびGPIF設立以来初めて運用方針を変更し、比較的リスクの低い国内債権の割合を引き下げて、国内株式や外国株式の割合を引き上げた。
 GPIFは110兆円もの公的年金の積立金を運用しており、株式や外貨への投資は極めてリスクの高い資産であり、国民の大切な年金資金が危険にさらされることになる。
 今日までの積立金残高の推移をみても、最近社会保障審議会・年金数理部会が発表した「2011年度公的年金財政状況」によると、2005年度150兆円あった積立金残高が2011年度には119兆円と6年間で31兆円も減少している。これほど多額の積立金減少が続けば、この先いったいどうなるのか心配せざるを得ない。
 そのうえ、今年夏には有識者会議を設置し、GPIFの資産運用に対する提言が予定されており、市場からは国内株式比率をさらに15%程度まで引き上げる案が取り沙汰されていると報道されている。
 今回のように更にリスクの高い株式などの割合をふやし、アベノミクスを応援するような年金積立金の運用が続けば、我々の年金の先行きが益々不安になってくる。
 国民の汗の結晶である大切な年金の積立金をアベノミクスのようなまやかしの経済政策に絶対に利用させてはならない。

社会保険労務士 夏野弘司

年金トピックス No.13 2013年5月23日

 年金問題の最新のニュース、情勢を“年金トピックス”としてお届けしています。執筆は、年金者組合神奈川県本部特別執行委員で、鎌倉支部の年金学習会の講師を務めていただいている社会保険労務士の夏野弘司さんです。

在職老齢年金の支給停止基準額を見直せ

 今、厚生年金、共済年金の支給開始年齢が段階的に引き上げられており、60歳以降も働き続ける人が多くなっている。
 最近の年金相談では、「年金をもらいながら働いたら年金はどうなるか」「給料がいくらまでなら年金がカットされずにすむか」「カットされた年金はあとで戻ってくるのか」など、在職老齢年金制度に係るさまざまな相談がふえている。
 厚生年金をもらいながら、厚生年金に加入して働いたときに給料によって年金が調整される、この年金を在職老齢年金と呼ぶ。この在職老齢年金制度の仕組みは、給料と年金を合計した月額が28万円を超えなければ年金はカットされないが、合計額が28万円を超えた場合は超えた額の1/2が年金からカットされることになっている。
 年金支給開始年齢が引き上げられ、65歳となるまでは一部の年金しか支給されないのだから、多くの人が65歳くらいまで働く状況となっており、在職老齢年金の支給停止基準額28万円を引き上げることが高年齢者の所得保障上きわめて重要だと思う。
 2年前から政府・与党による社会保障・税一体改革の年金分野において「在職老齢年金制度」の支給停止基準額を引き上げることが議論されていたが、政権が変わってからはこの議論が聞こえてこない。公務員の共済年金受給者が厚生年金に加入して働いたときは、65歳前でも支給停止基準額は46万円となっており、厚生年金の在職老齢年金も支給停止基準額を46万円に引き上げるよう改善を要望したい。

社会保険労務士 夏野弘司

年金トピックス No.12 2013年4月22日

 年金問題の最新のニュース、情勢を“年金トピックス”としてお届けしています。執筆は、年金者組合神奈川県本部特別執行委員で、鎌倉支部の年金学習会の講師を務めていただいている社会保険労務士の夏野弘司さんです。

年金の繰上げ請求は要注意

 今年4月以降に60歳を迎える男性で、厚生年金加入が一年以上あり、国民年金などと併せて25年の受給資格を満たしている人は、厚生年金の報酬比例部分の年金が支給されるのは61歳からに引き上げられる。(厚生年金の女性は5年遅れて1958年4月以降生まれの人から)
 そのため、60歳の誕生月の3ヶ月前に日本年金機構から「年金に関するお知らせ」が送られており、「お知らせ」には現時点までの加入記録と61歳からと65歳からの年金見込み額が記載されている。また「お知らせ」の説明の中で「老齢年金の繰上げ請求について」の欄に「受給開始年齢になる前でも60歳以降であれば請求することにより繰上げて年金を受け取れます」として、簡単に繰上げ請求で年金を受け取る場合の注意点が記載されている。
 最近の年金相談では、この「お知らせ」を持参し繰上げ請求に関する相談が増えている。繰上げ請求をすると年金額が減額されることは知っているが、厚生年金を60歳から繰上げて請求する場合は、厚生年金の額は6%(0.5%×12月)の減額だ が、厚生年金を繰上げ請求した場合は、65歳からの老齢基礎年金が30%減額されることになっている。また、繰上げにより減額された年金は生涯つづき、あとで取り消すことはできない。そのほか万一怪我や病気で障害者になっても障害年金の請求ができないことになっている。このように繰上げ請求のデメリットも多いので繰上げ請求を考えている人は十分注意してもらいたい。

社会保険労務士 夏野弘司

年金トピックス No.11 2013年3月25日

 年金問題の最新のニュース、情勢を“年金トピックス”としてお届けしています。執筆は、年金者組合神奈川県本部特別執行委員で、鎌倉支部の年金学習会の講師を務めていただいている社会保険労務士の夏野弘司さんです。

年金の後納のための貸付制度・ローン導入が一部実現しました!!

国民年金保険料「後納制度」を活用して無年金者を救済しよう!!

 昨年10月から「年金確保支援法」に基づく国民年金保険料の「後納制度」が、2015年9月までの3年間に限って実施されることになった。昨年8月から該当する人に「国民年金保険料の納付可能期間延長のお知らせ」が日本年金機構から送られており、年金事務所でも特別相談コーナーを設置して相談に対応している。
 日本年金機構の発表では、2月末現在で「お知らせ」の送付件数が1335万件に対して、後納保険料の申込受付件数が49万件とわずか3.7%となっており、この制度の活用が低調なため、活用を勧めるPRを盛んにすすめている。
 後納制度のお知らせが届いても、後納の申込みが少ない理由は、いくつかあると思われるが、中でも多いのは、過去数年間の未納期間分を一括で納付する場合は、数十万円の保険料額になるため、その資金の工面に困っている人が多い。まだ年金受給年齢に達していない人は、2015年9月までに分割して納めれば将来の年金につながることとなるが、既に65歳過ぎて無資格の人は、借金してでも一括納付すれば、すぐ翌月から年金が受給できることになる。
 このことに関して、私が昨年11月1日付け朝日新聞「私の視点」欄に投稿した「ローン導入で無年金者救え」に対して、最近二つの具体的な反応があった。
 ひとつは千代田区が貸付限度額33万円まで、無利子の「国民年金保険料後納制度の利用に係る応急資金の貸付制度」をつくり、年金事務所にも連絡し、3月から相談・受付を開始している。
 二つ目は全日本年金者組合で中央労働金庫に要請した結果、労金独自の「年金ローン制度」として、今年4月から12月の期間限定だが、後納保険料の借り入れができることとなった。(詳しくはお近くの労金支店で確認してもらいたい)
 今、年金を受給している人には関係ないことだか、ご家族やお知り合いに「後納制度」に該当する人がいれば、消費税増税や生活保護費引き下げなど、無年金者は一層厳しい状況を迎えているのだから、無年金者を救済するため、みんなで「後納制度」の活用を勧めてもらいたい。
 また、千代田区の後納保険料応急貸付制度をさらに多くの市区町村にも普及させるため、年金者組合各支部で対応する行政に働きかけをすすめてもらいたい。

社会保険労務士 夏野弘司

年金トピックス No.10 2013年2月6日

 年金問題の最新のニュース、情勢を“年金トピックス”としてお届けしています。執筆は、年金者組合神奈川県本部特別執行委員で、鎌倉支部の年金学習会の講師を務めていただいている社会保険労務士の夏野弘司さんです。

「ねんきんネット」活用で高齢者を援助しよう!!

  2007年頃から大きな政治問題となった年金記録問題は、今年度が集中処理期間の最終年度として、日本年金機構では年金受給者全員に「受給者便」を2月から10月にかけて順次送り、「ねんきんネット」を活用して、記録確認をしてもらうよう呼びかけることになっている。
 昨年9月末時点で、解明されていない記録がまだ2220万件残っていると発表されており、未解明の記録は高齢者の古い記録や短い期間の加入記録が多く、特に転職の多かった人や結婚前の旧姓の記録などが多いといわれている。インタネットを利用できない人のためには各市町村において「ねんきんネット」を活用して記録確認を支援することになっている。
 全員に送られてくる「受給者便」には個別にアクセスキー(17桁)が印刷されているので、日本年金機構のホームページの「ねんきんネットサービス」のコーナーで、検索して確認結果を印刷して、年金事務所に持参して相談するという流れになっている。
 年金者組合でも活動のひとつとして位置づけて、インターネットを利用している組合員は、特に高齢者の記録確認作業を助けてあげれば喜ばれるのではないだろうか。もちろんアクセスキーを利用することで、その人の年金に関する個人情報が全てわかるので、ご本人に十分説明して、ご本人の了解の上で援助することが前提となる。

社会保険労務士 夏野弘司

「ねんきんネット」は日本年金機構のホームページから入れます。

 当学習会の講師、夏野社労士の提言

 年金者組合鎌倉支部の年金学習会の講師で、県本部特別執行委員である夏野弘司社労士の提言が、11月1日朝刊の朝日新聞に掲載されました。テーマは、未納国民年金の過去10年分について支払いが可能になったことにあわせて、支払いが困難な方にローンを導入して支援しよう、というものです。現在、政府・自治体・金融機関など、関係処方面にむけて、無年金・低年金を少しでもなくしていこうという具体的な提言として注目されています。


年金トピックス No.9 2012年12月20日

 年金問題の最新のニュース、情勢を“年金トピックス”としてお届けしています。執筆は、年金者組合神奈川県本部特別執行委員で、鎌倉支部の年金学習会の講師を務めていただいている社会保険労務士の夏野弘司さんです。

配偶者加給年金の支給停止時期を改めさせよう!!

 先日、海老名市での年金相談会で、大変怒りをあらわにした女性A子さんから相談があった。今年4月に60歳になり、厚生年金に291月加入していたので、年金事務所に年金の請求手続きに行った。その際、窓口の人から、貴女のご主人に加算されている配偶者加給年金39万円が支給停止となると説明があった。
 A子さんが60歳から受け取る年金は年額29万円なのに、夫の年金が39万円減らされると、家計でマイナス10万円となる。A子さんは64歳で厚生年金の満額80万円が受け取れる人であり、そのときに夫の加給年金が減らされるのなら我慢できるが、60歳の厚生年金の一部しか受け取れない時から夫の年金が一部停止されるのは納得できないので、窓口の人に苦情をいったが、法律で決まっているからと相手にしてくれなかった。
 A子さんは納得できず、悔しくて私に相談に来た。法律では夫婦ともに20年以上の厚生年金加入期間があると、どちらも加給年金を受給する権利はあるが支給停止となることになっている。
 最近、共働き夫婦も多く、A子さんのような事例は多くなっている。女性の賃金が男性の6割程度と低いことが年金額もA子さんのように291月も厚生年金に加入していても、年額29万円程度と低年金となっている。
 配偶者加給年金の支給停止時期を厚生年金の満額受給できる年齢に改めるべきである。 本来、1994年に定額部分の支給開始年齢を段階的に引き上げる法律ができたときに、この加給年金の支給停止時期を改正すべきであったものだ。
 年金者組合として法改正を求める運動をしよう。

社会保険労務士 夏野弘司

年金トピックス No.8 2012年10月21日

 年金問題の最新のニュース、情勢を“年金トピックス”としてお届けしています。執筆は、年金者組合神奈川県本部特別執行委員で、鎌倉支部の年金学習会の講師を務めていただいている社会保険労務士の夏野弘司さんです。

年金加入記録の「もれ」はありませんか ?

まだまだ多い未解明の年金記録、2240万件も!!

 6年くらい前に、年金の未統合記録が5095万件あることが判明し、大きな政治問題となりました。未統合記録が発生したもっとも大きな原因は、1997年に基礎年金番号制度を導入し、一人ひとつの番号で管理することにしたわけですが、それまで一人でいくつもの番号があったため、姓名や生年月日が少しでも違うと別人扱いとして処理されました。そのため基礎年金番号に統合されない記録がたくさん発生しました。
 社会保険庁やその後引き継がれた日本年金機構は、この未統合記録を正すために、「ねんきん特別便」や「ねんきん定期便」などを加入者、受給者全員に郵送し、加入記録の照会などの作業を続けてきました。
 最近の日本年金機構の発表では、まだ解明されていない記録が2240万件もあると説明しています。そのうち特別便等に対する未回答が935万件あるようです、未回答の人の多くは「ねんきん特別便」の内容がよく理解できない、昔のことが思い出せないなどで回答を出していないなどのようですが、最近の事例では15年前に死亡した夫の昔の厚生年金加入記録が見つかり、遺族年金を15年分遡って約5百万円もらった人もいます。
 また、現在未請求者が多い年金は、若い頃勤めていた会社に厚生年金基金があり、10年未満で退職した場合は、企業年金連合会から年金が支払われることになっていますが、この年金を請求していない人が121万人いると発表されています。該当する人は女性が多いようです。お心当たりのある方は企業年金連合会(電話0570-02-2666)へ当時の勤めていた会社の名前、当時の名前(旧姓)などを伝え照会してみてください。
 年金が毎年下げられています、たとえわずかでも無駄にしないよう昔を思い出して請求しましょう。

社会保険労務士 夏野弘司

年金トピックス No.7 2012年9月11日

 年金問題の最新のニュース、情勢を“年金トピックス”としてお届けしています。執筆は、年金者組合神奈川県本部副委員長で、鎌倉支部の年金学習会の講師を務めていただいている社会保険労務士の夏野弘司さんです。

「特例水準解消法による年金引下げ」をはね返した力で
消費税増税をストップさせよう

10月からの「特例水準解消法による年金引下げ」は実施されません

 通常国会に上程されていた「特例水準2.5%年金引下げ法案」が混乱する国会のもとで、審議もされず9月8日閉会となり、10月分からの年金引下げは実施されなくなりました。年金引下げ法案が審議もされなかった背景には、民・自・公の議員の中にも、年金引下げに反対する声が多かったなどと報道されていますが、議員は選挙を間近にひかえ、国民の「年金を引下げるな」「消費税増税反対」の多数の声を意識したものだと思われます。年金者組合を先頭にした各団体などの運動の大きな成果です。
 消費税増税法案は残念ながら成立しましたが、実施は2年、3年先の予定です。各種世論調査でも消費税増税反対が過半数を超えています。
 私たち年金者組合は、「特例水準解消法による年金引下げ」を跳ね返しました、この力で、今度は消費税増税を実施させない運動を強めることが重要だと思います。

消費税10%引き上げを条件に年金受給資格を10年に短縮

 また、国会で成立した「年金機能強化法」のなかで、年金者組合が以前から要求してきた「受給資格期間短縮」が実現し、25年から10年に短縮されました。これも長年の闘いの成果であり、画期的な改革です。
 しかし問題は、2015年10月消費税10%増税が実現したとき、10年に期間短縮を実施するとしています。
 現在、25年という長い受給資格期間に満たないため、無年金となっている人が大勢います、受給資格期間短縮は消費税増税と切り離して直ちに実施すべきです。
 「消費税増税ストップ」「受給資格期間短縮直ちに実施」「特例水準年金引下げ反対」を年金者組合のスローガンにして、さらに運動を大きく進めましょう。

社会保険労務士 夏野弘司

年金トピックス No.6 2012年7月20日

 年金問題の最新のニュース、情勢を“年金トピックス”としてお届けしています。執筆は、年金者組合神奈川県本部副委員長で、鎌倉支部の年金学習会の講師を務めていただいている社会保険労務士の夏野弘司さんです。

国民年金保険料の免除制度を活用しよう

7月中に申請すれば昨年7月分からの免除できます

 7月5日厚労省が「平成23年度の国民年金保険料の納付状況と今後の取組等」で公表しましたが、納付率の低下に歯止めがかからず、前年度を下回る58%台まで落ち込んだと説明しています。
 国民年金強制加入の第1号被保険者1904万人のうち未納・未加入者が329万人となっています。最近特に若年層に未納・未加入者がふえる傾向が強いようです、それは学校卒業しても正規社員として就職ができず、収入も少なく、年金制度に対する不信感もあって納付に無関心となっている若者が増えているからのようです。
 国民年金法では、20歳から60歳になるまでは全員が国民年金に加入することが義務付けられていますが、年金というと老後のことというイメージが強く、若いうちはとかく無関心になりがちです。ただ、今の年金制度では、若いうちでも万一事故にあって障害者になったり、死亡したりした場合、障害年金や遺族年金という制度もあります。
 そのためには加入しておくことが大切です。経済的に大変なときは保険料免除制度があります。免除制度には所得に応じて全額、四分の三、半額、四分の一の多段階の免除制度があります。
 毎年7月から翌年6月までの期間が免除扱いの加入期間になります。今月中に免除申請をすれば、所得要件が同じであれば昨年7月まで遡って免除が認められることになっています。ご家族やお知り合いの若者に国民年金の免除制度を知らせ、年金に無関心だったために不利益を被ることのないよう注意を呼びかけましょう。

社会保険労務士 夏野弘司

年金トピックス No.5 2012年6月24日

 年金問題の最新のニュース、情勢を“年金トピックス”としてお届けしています。執筆は、年金者組合神奈川県本部副委員長で、鎌倉支部の年金学習会の講師を務めていただいている社会保険労務士の夏野弘司さんです。

国民年金保険料「後納制度」を周知して
無年金・低年金者を援助しよう

10月から3年間の時限立法で後納制度実施

 国民年金の保険料は、今まで滞納分は2年前までしか遡って納めることができませんでしたが、昨年成立した「年金確保支援法」により、今年の10月1日から3年間の時限措置として、10年前までの保険料未納期間について、遡って納めることができることになりました。これを「後納制度」といいます。
 経済的な事情で、保険料を納付することができず、年金受給資格25年に不足している人や、受給資格は充たしていても、このままでは年金額が少ないと心配されている人は「後納制度」を活用して10年前までの間の未納期間分を納付することができます。
 現在すでに年金を受給している人を除いて(年金受給者はこの制度は対象外)10年以内に未納期間のある人には、8月から順次日本年金機構から案内文が送付され、年金事務所でも事前受付を開始することになっています。
 日本年金機構では、該当者1800万人に案内文を送付し、この制度を利用すれば最大40万人が将来無年金者にならず、最大70万人が年金受給を早められると推測しています。
 後納する保険料は、未納だった当時の保険料額に利息相当額が加算されますが、受給資格を獲得できる利点や終身、年金額が増額することなどを考えれば、昨今の長寿化の時代ですから、メリットのある話だと思われます。
 該当者に案内文が届いても、多くの人が後納保険料をどうするか、悩まれると思われます。年金者組合の人は、ぜひそのような人の相談に応じるよう努力しましょう。また、毎月の年金学習会での相談にもご案内しましょう。

社会保険労務士 夏野弘司

年金トピックス No.4 2012年5月28日

 年金問題の最新のニュース、情勢を“年金トピックス”としてお届けしています。執筆は、年金者組合神奈川県本部副委員長で、鎌倉支部の年金学習会の講師を務めていただいている社会保険労務士の夏野弘司さんです。

国の責任で受給権を保護せよ

AIJ投資顧問会社事件の背景 投資をあおり、監視を怠ったのは厚労省

 最近、AIJ投資顧問会社の詐欺的事件で、多くの年金基金が多額の年金資産運用で被害を受けている。昨今の運用環境の厳しい下で多くの基金が、積立不足となっており、約4割の厚生年金基金が「代行割れ」しているといわれているもとでの事件である。
 また、多くの基金で資産運用経験のない旧社保庁OBがAIJの巧みなセールスに騙されたともいわれている。
 今日の段階では、この事件の全貌が未だ明らかではないが、この事件の背景には、厚労省が1997年に基金の年金資産配分規制(5:3:3:2規制)を撤廃し、「貯蓄から投資へ」という風潮をつくりだし、リスク商品への運用を認めてきたことであり、厚労省の監督指導を怠ってきたことである。
 今、開催されている有識者会議では、この事件からすぐに資産運用の規制を強化すべきではない、などの意見が出されているが、労働者の老後の生活を支える大切な年金資金であり、リスクの高い運用は避けるべきである。
 また、有識者会議や民主党の検討会では、年金減額の規制緩和などが議論されており、企業年金の受給権を侵害するものであり、許せない議論である。
 今回の事件による一番の被害者は、AIJに関係した基金の加入者、受給者であり、今後どのような解決策をとる場合であっても、加入者、受給者に不利益をもたらすことのないよう、厚労省は責任をもって対策を講じるべきである。
 私たち年金者組合としても、万一加入者、受給者の受給権が侵害されるような事態が発生した場合には、受給権を守るための闘いを支援することが重要だと思われる。

社会保険労務士 夏野弘司

(注)国内債券など安全性の高い資産を5割以上、株式のようなリスクの高い資産は3割以下、不動産などは2割以下で運用を規制していたこと

年金トピックス No.3 2012年4月28日

 年金問題の最新のニュース、情勢を“年金トピックス”としてお届けしています。執筆は、年金者組合神奈川県本部副委員長で、鎌倉支部の年金学習会の講師を務めていただいている社会保険労務士の夏野弘司さんです。

年金一元化法案で共済年金改悪

 “一元化”で脅かされる年金者の生活

 政府は消費税増税、年金など国民生活に重大な影響をもたらす11本の法案の一括審議を強行にすすめようとしている。
 その中の年金関連法の一つに「被用者年金制度一元化法案」がある。法案では、公務員及び私学教職員の加入する共済年金の2階部分の年金を厚生年金に統一するとなっており、このことにより共済年金制度加入者、受給者の既得権が脅かされようとしている。
・その一つは、共済年金にある公的年金としての3階部分(職域部分)を廃止する、廃止後の新たな年金については現在未定。
・二つ目は、共済年金にある遺族年金の転給制度の廃止や、在職老齢年金の制度もすべて厚生年金の基準に統一するため、60歳台前半の支給停止がきびしくなる。
・三つ目は、保険料率を厚生年金に統一するため、共済年金の保険料も段階的に引き上げられる。
・四つ目は、1959(昭和34)年10月前から国家公務員だった人には、恩給期間が通算された退職共済年金を受給しているが、今回の法案ではこの恩給期間に係る給付については、追加費用を削減するためとして27%年金を引き下げることとなっている。
 法律の施行は2015年10月1日以降となっているので、共済年金加入者、受給者を中心にして、既得権の侵害を許さない運動を強めることが重要である。

社会保険労務士 夏野弘司

年金トピックス No.2 2012年3月19日

 年金問題の最新のニュース、情勢を“年金トピックス”としてお届けしています。執筆は、年金者組合神奈川県本部副委員長で、鎌倉支部の年金学習会の講師を務めていただいている社会保険労務士の夏野弘司さんです。

マイナンバー法案に要注意

 今国会で審議が始まる。管理、監視の強化の恐れ。

 政府は「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律案」(マイナンバー法案)を国会に提出しています。法案が成立すれば、2014年から個人番号カードを交付し、2015年から利用を開始するとしています。
 マイナンバー法案では、年金など社会保障分野の事務、国税・地方税の徴収や防災等に係る事務などに活用し、国民の給付と負担の公平性などを確保し、手続きの簡素化や行政サービスの効率化を図る、として諸手続きの利便性をうたっていますが、マイナンバーで個人の所得や年金額、医療費の負担など個人情報がすべて行政に把握されることになり、国民一人ひとりが国家に管理、監視されることになります。
 また万一、カードの紛失や盗難などにあったり、マイナンバーが漏洩したりすると、大きな被害を受けることになります。現に米国や韓国では個人ナンバーの盗難や漏洩による被害が相当発生しているといわれています。今後の国会審議に注目しましょう。

社会保険労務士 夏野弘司

年金トピックス No.1 2012年2月26日

 今回から年金問題の最新のニュース、情勢を“年金トピックス”としてお届けします。執筆は、年金者組合神奈川県本部副委員長で、鎌倉支部の年金学習会の講師を務めていただいている社会保険労務士の夏野弘司さんです。

年金受給資格期間10年を早期実現させよう!!

年金者組合の要求実現で、約17万人の無年金高齢者が救済されます。
 年金者組合で以前から要求していた、年金受給資格期間を25年から10年に短縮する改正内容が、厚労省から社会保障審議会年金部会に明示されました。年金部会では、とくに異論はなく、10年短縮で法改正することがほぼ決定しました。
 最低保障年金制度が実現していないもとで、現在の無年金者だけでなく、将来無年金者を発生させないためにも、わが国の年金制度の画期的な改正です。
 厚労省の推計では、今後25年を満たす見通しのない人を含めて無年金者が118万人、現実に65歳以上の無年金者が42万人おり、そのうち10年以上の納付済期間を有している人が約4割となっていると発表しています。
 法案が成立すれば推計約17.2万人の無年金者に受給権が発生することとなります。対象となる年金は、老齢基礎年金、老齢厚生年金、退職共済年金、寡婦年金や大正生まれの方の旧法時代の老齢年金などであり、私たちのまわりにも受給資格期間不足で無年金となっている人がおります。一日も早く改正法案を成立させよるよう年金者組合の運動を強めましょう。

社会保険労務士 夏野弘司

 月例「年金学習会・相談会」のお知らせ

 年金者組合鎌倉支部では2002年2月から毎月1回開催し、通算100回を超えています。現在も継続して学習しています。テキストは『理解しやすい年金講座・公的年金のしくみ』を使用し、講師は社会保険労務士の夏野弘司先生(年金者組合神奈川県本部副委員長)です。年金のしくみや最低保障年金制度について、ごいっしょに学びましょう。場所や開催日は「鎌倉萌」や「組合のチラシ」でもお知らせします。

さまざまな年金問題にとりくみました

 いままでも“年金未納問題”、“消えた年金問題”や今年の“3号被保険者問題”などについて学習してきました。また現在は、“税と社会保障の一体改革”が進められようとしており、私たち年金者の生活に直結する改革が進められようとしています。私たちの生活を、私たち自身で守るために、まず私たち自身が年金のしくみやあり方について学ばなければなりません。組合員以外の一般の方のご参加も大歓迎です。

個別の年金なんでも相談も受け付けています

 学習会終了後、年金に関する個別のご相談を受け付けます。国民年金、厚生年金、共済年金、企業年金などで分からないこと、困っていることがあったら、学習会終了後、お申し出下さい。現在までもこの相談の結果、“消えた年金”が復活した例がたくさんあり、また遺族年金や障害年金などでの不利を解消するなど、喜ばれています。なお、ご相談の際は、年金特別便などお手元の資料を出来るだけお持ち下さい。年金機構の窓口とは違った親身のご相談を心がけています。

連絡先 西田 080-3312-2450 ・ 飯田 0467-47-9720
・ 公平(きみひら) 0467-41-0927

2016年2月の年金学習・相談会(第166回)

 2月25日(木)
 13時30分から
NPOセンター大船
参加費無料
講師 夏野弘司
社会保険労務士

2014年9月1日(月) 年金学習会・特別編

「20万署名を成功させよう」/“マクロ経済スライド”とは

夏野  まだ夏の気配が残る中、年金者組合鎌倉支部では、夏野社労士を講師に迎え、学習会を開催しました。
 恒例の年金学習会の特別編として開催しましたが、今回は、「いのちとくらし守れ! 20万署名運動」が開始されたことにともない、今問題になっている『マクロ経済スライド』とは何か、どのような問題点があるのか、を中心に学びました。
 夏野講師からは、マクロ経済スライドが発令されれば、私たち年金支給者の生活が破壊されるだけでなく、将来の受給者である、現役世代・若者にとっても生活設計を脅かす、大変な悪政であることが説明されました。
 参加者は、マクロ経済スライドをはじめとする、現政権の年金制度の改悪、それと同じ根をもつ消費税の値上げ、介護や医療の改悪に対して強く抗議する意思をかため、その武器として20万署名に取り組むことの重要さを理解することができた学習会となりました。

年金学習会会場
詰めかけた組合員の皆さん。

 「マクロ経済スライド」についての厚労省と日本年金機構の説明は次のサイトで読むことができます。
厚生労働省「マクロ経済スライドについて」
日本年金機構 用語解説「マクロ経済スライド」
今年6月の年金財政検証については、年金トピックス No.23をごらん下さい。

7月30日(水) 年金学習会・特別編(第6弾)

「スウェーデンの年金事情」

 年金者組合鎌倉支部の年金問題学習会特別編は、今までロシア、中国、アメリカの実情を学んできました。7月30日(水)、NPOセンター大船で開催した今回の特別編は、年金者組合東京都本部書記次長の芝宮忠美さんをお招きし、「スウェーデンの社会保障と年金事情」について学習しました。
 芝宮さんはホテルマンとしてストックホルムに8年間生活した経験をお持ちで、社会保障先進国とされるスウェーデンの人々の暮らし、制度の実態とその問題など、興味深いお話をいただきました。

 始めにスウェーデンの政治情勢を話され、日本との社会保障の単純な比較はできないことを指摘されました。4年に1度の選挙は比例代表制の一院制で、参政権は18歳以上、投票率は実に80%台だそうです。そこで選ばれる議員の定数は349名、女性が48%を占め、大臣以外は他に仕事を持っているので、国会は夜開かれるそうです。

 スウェーデンは第一次世界大戦、第二次世界大戦でも厳正な中立政策を採り、戦争に参加しませんでした。戦死者が出なかったことで高齢者が多くなり、世界で最も早く高齢化社会を迎えたのです。そのためもあって、社会保障制度の充実は、国の根幹の事業となったのでした。たびたびの改革を経て社会保障先進国として他に先駆け、1999年に最低保障年金(月に13.5万円)を確立させています。

 スウェーデンは消費税が25%(食料品は15%)で、日本では高いことで知られていますが、文字通り「高負担・高福祉」を実現しており、医療・教育の無料化は徹底しています。ところが国税に占める消費税の割合は、日本と同じ22%であり、日本が消費税に依存しすぎていることが判ります。

 食料品の税率が低いのですが、食料品かどうかの線引きは難しいそうです。また現在のスウェーデンの抱える最大の問題が移民の増加であり、低所得層の移民の生活を税で負担することに対する富裕層の反発が出始めているようです。

 また、芝宮さんは生活保護世帯の相談にあたっていますが、生活保護に対する行政の締め付けによって、高齢者住宅で孤独死が相次いでいるなど、深刻な日本の現状にも言及され、日本は「中福祉・中負担」を目指すと言いながら、実態は「高負担・低福祉」になっていると指摘されました。

4月25日(金) 年金学習会・特別編(第5弾)

「アメリカの年金事情と医療制度」

 年金者組合鎌倉支部の年金問題学習会特別編は、昨年後半からは「不服審査請求」について学習を中心として、第3,第4弾を開催し、1月末には請求を行いました。一段落したところで、年金問題を別な角度から考えようということで、1昨年のロシア、昨年の中国に続いて、今年はアメリカの年金事情や社会保障について学ぶこととしました。
 4月25日(金)13:30より、NPO大船で、講師にリンカーン=ベルさんをお迎えして、『アメリカの年金事情と医療制度』についてのお話を伺いました。
 


講師のリンカン・ベルさん

第126回 年金学習会・特別編(第2弾)

「中国市民のくらしと老後の生活」

 年金者組合鎌倉支部で毎月開催している年金学習会の特別編として、3月13日(水)13:30より、NPO大船で、講師に李一紅女史をお招きしました。
 講師の李さんは吉林大学口腔医学院卒業後、中国では歯科医師となり、日本では歯科衛生士として働いておられます。インフレ政策や年金カットで生活が脅かされている状況下、前回のロシアに引き続き今回は、隣国中国の老人の生活と年金制度について、中国でも日本でも医療に携わっている知的な女性の話を聞くことができました。今回の講演に長い時間を割いてくれたのに、聴衆は22名と少なかったのが残念でなりません。


講師の李一紅さん

 近年、中国では老人が急増している。その主原因は大きく二つあります。
 イ)1980年に一人子政策(独生子女政策)が実施された。その結果一人の子に対して四人の両親の出現。
 ロ)医療と生活水準の向上で男性は71歳、女性は75歳まで生きられる。
  中国は建国以来社会主義制度を堅持していたが、改革政策により計画経済から部分的に市場経済(資本主義的要素、部分的な利潤率の導入)を採用した。その結果、
 a)農村部と都市部の生産性の格差が出現した。
 b)人口の都市部への過度な集中
 c)軽工業と重工業
 d)臨海部と内陸部の富と労働力の偏在。
 まとめ:中国の都市部と農村部の医療・教育水準には大きな格差がある。中央政府はこの状況を改善するために、A)都市の医師は定年退職後、農村部の医院に勤務する義務。B)入学試験(医学部)の点数を下げ、卒業後は農村に勤務する。C)中国は人口も問題も山積しているが老人を大切かつ尊重する等の政策を打ち出して行くとのことでした。

第126回 年金学習会・特別編 ロシアの庶民のくらしと年金事情

 10月31日(水)、午後1時30分から大船NPOセンターで開催した鎌倉支部年金学習会は、特別編として「ロシアの庶民のくらしと年金事情」と題し、ロシア事情に詳しいお二人を講師にお迎えしました。ロシアに留学経験を持つ福島由照さん(年金者組合鎌倉支部執行委員)と現在は日本でロシア人向けの旅行社にお勤めのサイトウ・リュドミーラさんのお二人のお話しは、あまり知る機会のないロシアの現状について、たいへん興味深く、またていねいに質問にも答えていただきました。


福島由照さん

 福島さんは「初老紳士留学記」としてお話しをされました。1998年9月、54歳で一念発起してロシアに渡り、モスクワ大学予備学部に入学、その後、サンクトペテルブルク大学経済学部修士課程、サンクトペテルブルク工業大学経済学部国際関係論学科で学び、留学生としてロシアの庶民や学生と接してこられました。その間、勉強がたいへんだっただけでなく、大学の講師だけでは生活が苦しく、小学校の日本語教師を務めておられたそうです。
 ロシアでの生活では、警察官から賄賂を要求されることや、学校の成績も金次第のところがあるなど、楽しい反面、首をかしげたくなるような事があったそうです。またいわゆる北方領土はロシアの環状循環経済発展論の中に組み込まれているという現実についての指摘もされました。


リュドミーラさん

 リュドミーラさんはすでに日本で15年間生活されています。ちょうどペレストロイカからソ連の終わりにかけて青春時代をモスクワで過ごし、旧ソ連時代、現在のロシア、そして日本での生活の体験からお話しをされました。旧ソ連時代には現役時の75%の年金が女性55歳、男性60歳で支給されていましたが、現在では実質17%程度しか支給されず、また年齢も女性60歳、男性65歳に引き上げられ、ロシア庶民の中には、年金に対する不信感が広がっているそうです。
 また、ロシアでは医療は完全無料(地域で指定された病院で診てもらう場合)だけれども、介護のシステムがないこと、定年がないこと、住宅事情の格差、警官や教員の給与が低いことなど、いろいろ考えさせられるような報告がありました。


部屋いっぱいの参加者

 講師は都合により、当初予定したアレクセイ・アルキシオスさんからサイトウ・リュドミーラさんに変更になりました。

 年金なんでも相談

 年金者組合鎌倉支部では年金相談活動を行っています。国民年金・厚生年金・共済年金・企業年金など年金全般で、わからないこと、困っていることがあれば、ぜひ月例の「年金学習会」にご参加下さい。また、「税と社会保障の一体改革」など、私たちの暮らしに直結する問題についても、ご意見・疑問をお寄せ下さい。年金者組合員以外の一般の方もご自由に参加できます。

 「年金学習会」に参加できない方、お急ぎの方は、「年金学習会」講師の夏野弘司先生へのメールでの質問も出来ます。「わからないこと、こまっていること、みんなで解決」するため、「年金なんでも相談・掲示板」を開設しています。「お問い合わせ」ページからご利用下さい。

質問メール・年金何でも掲示板へ

県本部 「年金相談室」のご案内

全日本年金者組合神奈川県本部でも年金相談を受け付けています。
夏野弘司社労士がお答えします。どんなことでもご相談下さい。

毎月第2火曜日 午後1時~4時
電話 045-662-4061
横浜市中区不老町2-8 不二ビル2階

 

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しばらくお待ち下さい。

年間の主な日程

4月 花見の会
5月 観劇会
   NPOフェスティバル
5月 メーデー
5~6月 春の旅行
9月 月見の会(稲村ヶ崎)
   定期大会
10~11月 秋の旅行
   年金者一揆
12月 喜寿のお祝いと忘年会

3ヶ月ごとにお誕生会を兼ね
おしゃべりサロンを開催。

年2~3回、市長とのふれあい
トークを行っています。